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海外テニス

“テニス求道者”ダニエル太郎を前に向かせる『制御可能な2%に全力を注ぐという意志』<SMASH>

内田暁

2024.03.12

今年1月にはオークランド大会の準優勝(写真)もありランキングでは日本男子トップを記録するなど31歳となった現在もダニエルは進化し続けている。(C)Getty Images

今年1月にはオークランド大会の準優勝(写真)もありランキングでは日本男子トップを記録するなど31歳となった現在もダニエルは進化し続けている。(C)Getty Images

 前述したように、ダニエルは2019年末にグローネフェルトをコーチとし、翌年にはメンタルコーチのジャッキー・リールドンも招いて陣営を固めた。

「スベンもそうだし、ジャッキーもそうだし。やっぱり技術だけの問題ではなく、精神面や、自分の感情にどう向き合うかなども、すごく大切なパーツだなと思いました」と改めて彼は言った。

 そのようなダニエルの述懐を聞き、ふと思う。その出会いがもう少し早く訪れていればとの思いが、胸をよぎることはないのか……と。

 幾分ぶしつけだと思いながらもその疑問を本人に向けると、ダニエルは少し口をすぼめて宙を凝視し、小さく「うーん」とつぶやいてから、続けた。

「あったりするんですけど、でも、しっかり考えてみたらなんか、会わなきゃいけない時に会っているなっていうのは、あるんです。やっぱりスペインの環境を終えるというのも、自分で決めなきゃいけないことだった。でもあの時はまだ全然、その決断を下せる環境が僕の周りにはなかった」

「今でもやっぱり、自分の決断を下すのにすごい時間がかかってしまったりとかするし、テニス選手って、普通の人より自分で決めなきゃいけないことが本当に多いと思うんです。小さいビジネスを運営しているみたいなものだけど、結果主義だから、うまくいかなかったら組む人が良くないのかなとか、そういうことは必ず考えに入ってくるし……」

 そこまで言うと、ダニエルはさらに自分の考えをまとめて加速させるように、話し始めた。
 
「この間も、人と話した時に考えていたんです。誰かに『トップ100に入るためのアドバイスはなんですか?』と聞かれたら、『諦めるな』とか『頑張り続けろ』と言うのは、わかりやすいし言えると思うんです。でもある意味、98%くらいの事象が、自分の手ではコントロールできないものが共鳴しあって起きている気がするんです」

「例えば僕も、日本で思春期を過ごしていたら、絶対プロにならなかったと思うし。それは環境面もそうだし、僕は学校の成績も良かったので、大学に行く方向に向いていた気がする。一つでもなにかが違ったら全く別の道を歩んでいた気がするし、だから大切な人たちにも、出会うべきタイミングで会っていなきゃいけないっていうのはあります」

 世の中の大半は自分でコントロールできないというある種の諦念と、だからこそ、制御可能な2%に全力を注ぐという自由意志の融合が、ダニエルを前に向かせているのだろう。

 なお、アカデミー賞授賞式が近いと言うことで、映画通のダニエルに、“推し作品”を伺ってみた。

 答えは、『哀れなるものたち』

 なるほど……と、どこか納得できる選択だった。

現地取材・文●内田暁

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