シナーと似たケースで、実際に長期の出場停止処分を受けた選手も声をあげている。

　女子ダブルス元77位のタラ・ムーア（イギリス）は、2022年５月にITIAから暫定の出場停止処分を受け、その取り消しを勝ち取るまで19カ月を費やした。食べた肉が汚染されていたのが原因だった。彼女は自身のXにこう書き込んでいる。

「トップ選手のイメージだけが重要なのでしょう。トップ選手に関する独立審判所の意見だけが、健全かつ正しいとみなされるのでしょう。しかし、彼らは私のケースではそれを疑問視しています。全く意味がわかりません」

　また、同じく食肉汚染の犠牲となり、８カ月の出場停止処分を受けた女子シングルス元60位のカグラ・ブイヤカカイ（トルコ）も、不公平だと訴える。

「仕事、名声、ランキング、不安やストレスによる健康を失い、圧倒的な経済的負担を負うことは、アスリートにとって最も過酷なプロセスです。同じルールの下で差別的な扱いを受ける者がいるというのは、信じられないほど不公平なこと」
  　男子シングルス元33位で今年引退したジョン・ミルマン（オーストラリア）は、今回のITIAの判断を支持しつつ、ドーピング問題の確定的な審査結果が出るまで選手が守られるべきだと主張する。

「シモーナ（・ハレップ）の審理にどれだけ時間がかかったか、タラ・ムーアの審理にどれだけ時間がかかったかを知って愕然とした。異なるルールがあってはならない、その点では全く同感だ。

　問題は効率的に、そして可能な限り迅速に調査されるべきだ。結論が出るまでは何も発表すべきではない。今後は全てのケースをヤニックのように扱うべきだ」

　シナーはこの騒動後の初戦となる全米オープン１回戦で世界140位のマッケンジー・マクドナルド（アメリカ）と対戦することが決定している。これまで以上に注目を集めることになりそうだ。

構成●スマッシュ編集部

【画像】シナーのドーピング問題に言及したキリオス、シャポバロフ、ダニエルのX画面

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