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【テニスギア講座】ラケットの「パワー系モデル」って、非力な人向け? ハードヒッター向け?<SMASH>

松尾高司

2024.08.24

フェデラーはかつて90平方インチという小さなフェイスのモデルを使っていたが、ベテランとなり成績が下降した際、97平方インチにすることでパワーアップを図り、復活に成功した。写真:THE DIGEST写真部

フェデラーはかつて90平方インチという小さなフェイスのモデルを使っていたが、ベテランとなり成績が下降した際、97平方インチにすることでパワーアップを図り、復活に成功した。写真:THE DIGEST写真部

 これは「プレーヤー=パワー小」「ラケット=パワー大」であり、最初から「自分は非力」とわかっている方はもちろんのこと、ベテランプレーヤーでも「以前は薄ラケでバリバリ強打していたけど、最近は飛距離や打球スピードが足りなくなってきて、相手に押されることが多くなった」という場合にマッチします。自分のパワー低下分をラケット側にサポートしてほしい時、新たな選択肢として浮上することが多いですね。

 パワーの衰えは、全てのプレーヤーに“必ず”やってきます。それを補ってくれる道具を選ぶことで「あの人、ラケットを替えてから強くなったね!」と言われるかもしれません。

 パワーという単語の読み分けは「パワフルな人のための薄ラケ」「パワーサポートを期待する人のための厚ラケ」という具合ですが、微妙なのが“中厚”です。

 中厚のバリエーションは幅広く、ガンガン打ってもいきたい人向け、そこそこスイングできる人向け、これからの上達を期待する人向けなど、様々なタイプが揃えられています。そんな中厚におけるパワー論争は、飛ばすだけでなくコントロールも求めたいという、ワガママなオールマイティ願望を叶えてくれることを期待させます。
 
 例えば、あんなに強靭な肉体で超高速スイングのトッププロが、中厚を使うのはナゼでしょうか? それは「飛びすぎを抑えるためのパワーも必要」だからです。

 トッププロでも、フレームにしなりを感じながらコントロールするのを好む選手と、ボールを強く叩き、激しくつぶすことでコントロールするのを好む選手とがいます。

 ボールを強烈につぶすには、フレームがしならず、シャフトの硬い中厚が向いています。また、ナダルのように猛烈なトップスピンを武器にするタイプは、スピン量のためにスイングパワーを消費してしまうため、推進力を補うためのパワー系中厚選択という場合もあります。

 一方キリオスなどは厚さ控えめな中厚を使いますが、極めて多彩なショットを操りながらコントロールし、時には「超フラット」で度肝を抜くためのパワーも備えておきたい……という選択と思います。

 このように、色んな状況で「パワー」という言葉が使われますが、「どういう意味で使われているのか?」を賢く嗅ぎ分け、自分が求めるパワーと一致するかどうかを判断した上でラケットを購入しましょう。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2023年2月号より抜粋・再編集

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