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テニスの大会でありがちな光景。ノーアドはどちらがやる? 5-2を大量リードと思っていない?【鈴木貴男コラム】

鈴木貴男

2020.01.15

ダブルスはお互いの意見を持ちより、戦い方を考えていくことで、大事な局面でも落ち着いて対処できる。(C)Getty Images

ダブルスはお互いの意見を持ちより、戦い方を考えていくことで、大事な局面でも落ち着いて対処できる。(C)Getty Images

 また、1セットマッチでよくある落とし穴として挙げられるのが“スコアのマジック”です。
 3-0、4-1、5-2といったスコアは、一見すると一方が大量リードをしているように思われがちですが、ここに共通していることは「たったの1ブレークでなり得るスコア」ということです。

 皆さんもこのスコアでリードしていたにもかかわらず、相手に追い上げられた…という経験があるのではないでしょうか?
 
 リードしている側は、もう勝てると安心してはいけません。よほど実力の違いがあればそのまま行けますが、デュース1本のノーアドで取った1ブレークならば、安心している場合ではありません。
 
 一方、リードされている側は、なぜそのスコアになったのかをよく考えてください。ボールを入れにいくだけになって展開が不利になっていないか、打ち過ぎて先にミスをしていないか、リターンがポーチの餌食になっていないか、相手はフォアよりバックのほうが得意じゃないか…などといったことです。
 
 プロはダブルスの時、こういったことを頻繁に話しています。試合の序盤などは、自分のテニスの調子を掴んでいくことも大事なので、作戦というよりも、相手をリサーチし、それをパートナーと共有するといったイメージです。

 このコミュニケーションも、一般のプレーヤーはおろそかになりがちです。例えばロブが多い相手なのに、ネットに詰めていたり、ポーチで叩かれているのに1本もストレートを打たなかったりということもあります。2人で話し合いをしていきながら、大事な場面でこういう穴をふさいでいけば、やるべきことがわかっていきます。
 
 要は数字だけを追ってしまうと、大事な局面での心理的な影響が大きく、何をすべきか見失うということ。相手のプレー、自分のプレーに意識をフォーカスしていくことでリードしていても、されていても焦ることなく対処できるようになるのです。

●鈴木貴男(すずきたかお) 
Team REC
1976年9月20日生まれ。グランドスラム、ATPツアーを転戦した経験を生かし、現在はプロテニスプレーヤーであるかたわら、ツアーコーチ、トップジュニアの指導、そして愛好家へのクリニックとマルチな活躍を見せている。ジャパンオープンシングルスベスト8、ダブルス優勝。全日本選手権3回制覇。最近はテレビのテニス中継を解説も行なう。
 

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