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海外テニス

全豪2回戦で惜敗の内島萌夏、次期女王と称される17歳アンドレーワと明暗を分けた“経験の差”<SMASH>

内田暁

2025.01.16

内島は試合後に「最後の長い2ポイントで、もっと自信を持ってラリーできていたら」と振り返った。(C)Getty Images

内島は試合後に「最後の長い2ポイントで、もっと自信を持ってラリーできていたら」と振り返った。(C)Getty Images

 第1セットこそ、序盤のブレークでアンドレーワが押し切ったが、第2セットに入ると、「サーブのコースが読めてきた」内島が、リターンのポジションを大胆に変えるなどして、アンドレーワに揺さぶりをかける。第2セットを内島が6-3で取ると、ファイナルセットも流れは内島。常にブレークで先行し、ゲームカウント5-4で自身のサービスゲームも迎えた。

 この時の内島は、「相手もしぶとい。スコアは気にしていなかった」という。とはいえ、どこかに勝利への意識があっただろう。ダブルフォールトも含めてミスが増え、ブレークバックを許してしまう。さらに続くサービスゲームでのアンドレーワは、ファーストサービスを全て入れてきた。重要な局面で確実に上がるプレーの精度は、やはり上位選手の貫録だ。

 運命の10ポイントマッチタイブレークでは、内島が3-6の劣勢から、心憎いまでのドロップショットをネット際に沈めて流れを変える。攻める内島が5ポイント連取し、8-6のリードで自身のサービス。勝利へと肉薄した。

 だがこの場面で、再びアンドレーワが勝負師の資質を発揮した。誰もが硬くなるだろうこの局面で、彼女のスイングには怯えがない。8-8からは12本のラリーの応酬の末に、アンドレーワがフォアの逆クロスをコーナーに突き刺す。

 そして結果的に最後となった打ち合いでは、実に19本のラリーの末に、またもアンドレーワのフォアの逆クロスが内島のラケットを弾く。2時間19分の熱戦の勝者は、第14シードの17歳だった。
 
 試合後のアンドレーワは、「経験」の重要性について、こう語る。

「私にはまだまだ経験が足りないが、それでも今日は私の方が、相手より大きなコートでの試合や、プレッシャーが掛かる状況での経験で勝っていたと思う」

 さらに彼女は、こうも続けた。

「でもアリーナ・サバレンカはロッドレーバーアリーナでの経験が誰よりもあり、彼女はあのコートで試合をする時にとても自信に満ちている。ランキングが高くなるほど、経験も豊かになる」

 この言葉は17歳の視線が、既に世界1位に照準が合っていることを思わせた。

 他方、内島もアンドレーワとの「経験の差」を、次のように述懐した。

「ああいう大きいポイントでの気持ちの強さを感じた。大舞台で色んな選手に勝ってきて、自信が付いているから、ああいうプレーができるのかわからないですが...、自分の方が、最後の方は気持でちょっとだけ引いちゃったのかな。経験という言葉で済ましていいのかわからないですが、特に最後の長い2ポイントで、もっと自信を持ってラリーできていたらなと思います」

 この試合での両者の総ポイント獲得数は、内島が106で、アンドレーワが108。内島が悔やむ「最後の長い2ポイント」が、まさに両者の差だった。

現地取材・文●内田暁

 【動画】内島VSアンドレーワの「全豪オープン」2回戦ハイライト

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