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海外テニス

再起を誓う元世界5位のアンダーソンが語る「ケガとの戦い」「下位選手救済」、そして「日本のジュニア」について【海外テニス】

内田暁

2020.05.19

30歳を超えてから全米とウインブルドン(写真)で準優勝を飾った遅咲きは、どんな時でも冷静に自分自身を見据えている。(C)GettyImages

30歳を超えてから全米とウインブルドン(写真)で準優勝を飾った遅咲きは、どんな時でも冷静に自分自身を見据えている。(C)GettyImages

「南アフリカ出身であることの最大のハンデは、国内で国際大会がほとんど行なわれていないこと。テニスの中心地は、やはりヨーロッパと北米、そして南米。アジアには増えてきているけれどアフリカ大陸は少なく、南アの選手は子どもの頃にトッププロに触れ合う機会がまずないんだ。

 それに、南アを離れて欧州に行くことが怖くもあった。欧州出身の同世代の子たちは、みんな以前からお互いを知っているからね。テニスの文化や歴史もある中に飛び込むことに気後れを感じていたし、その部分の適応には時間が掛かった。

 経済面でも、遠征にお金が掛かるのが難しいところ。そんなに海外には行けないから、大概の選手は試合経験が少ない。なのでやはりプロになるには、アメリカやヨーロッパにいた方が遥かに効率が良いよね。だから僕にとっては、アメリカの大学に行けたのはすごく大きかったんだ」。

 アンダーソンが語る、南アフリカ出身者が抱える地理的ハンデとは、日本の若い選手たちが直面する悩みでもあるだろう。だからこそ彼は、若き日の自身と似た状況下にある日本のジュニアたちに、次のアドバイスを送ってくれた。
 
「たとえ世界のどこに住んでいようとも、確実に言えるのは、自分がコントロールできることに集中すべきだということ。オンコートはもちろん、オフコートやジムでもしっかり練習し、来たるチャンスに備えることが大切だ。僕は子どものころから、努力は裏切らないと固く信じてトレーニングをかなりやってきた。

 次に、自分を信じること。トップ選手と練習や試合をしたことがないと、自信を得るのは難しいよね。それでも、テニスボールはどこにいてもテニスボール。自分のプレーを向上させることに尽力するしかないんだ。特に今はソーシャルメディアのお陰で、いろんな選手のプレーをあらゆる側面から見ることができる。それらを活用していくのも良いと思う。

 最後に、ペイシェンス(我慢/根気)。これが絶対に必要になる。テニスキャリアは長い旅であり、アップ・ダウンもあることも知らなくてはいけない。平坦な旅ではなく、良い時があれば、ケガや負け続けるなどのつらい時期も必ずある。でもそこから多くを学び、自分の成長が感じられない時でも、向上心を失わないこと。二歩進んで一歩下がりながらも前進することが、長いキャリアでは特に重要なんだ」。
 
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