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国内テニス

日本代表をどう変える? 添田豪“新監督”が描く強化ビジョン「新たな選手をトップ100に行かせなくてはいけない」<SMASH>

内田暁

2022.09.20

長いキャリアを持つ添田は、岩渕聡監督の下でもデ杯代表としてプレーした。その志を受け継ぎ、強くて層の厚い日本を作り上げることに情熱を燃やす。(C)Getty Images

長いキャリアを持つ添田は、岩渕聡監督の下でもデ杯代表としてプレーした。その志を受け継ぎ、強くて層の厚い日本を作り上げることに情熱を燃やす。(C)Getty Images

 その壁を再び突破するために、「今まで以上に厳しく、細かく意識を持ってやれば」と言う添田は、自分に言い聞かせるように「うん」と頷くと、「数年後……すぐにはとは思わないんですが、少なくても2年後、3年後には、最低でも1人は行かせたいと思います」と続けた。

 そのための下準備は、既に始まってもいるだろう。ただその前に、今は集中しなくてはいけないことがある。それはもちろん、彼自身のキャリア集大成となる、10月の全日本選手権だ。

「8月上旬のSBCドリームテニスが終わってから2週間はテニスも休んでいたのですが、そこから練習を再開して、少しずつ身体を仕上げていく感じで。全日本前のどこかで、海外に1大会出ることを考えています。最後の全日本は、優勝目指して有終の美を飾りたいと思いますし、有観客なら家族やスポンサーに最後を見せて終わりたいなというのはあります」

 20年に及ぶプロキャリアに幕を引こうとする彼に、思い出深い試合を尋ねてみた。

「楽天オープンでやったジョコビッチ戦と、圭との試合……やはり、国内の試合が思い出に残っていますね。あとはやっぱり、デビスカップ。1つだけというのは、正直挙げられなくて。勝った試合も印象に残っているけれど、負けた試合の方が自分の中で強く残っています」
 
 思えばデビスカップでの添田は、チームの命運がかかった試合を幾度も戦い、そのたびに勝っても負けても、見る者の心を打つ死闘を演じてきた。爪が剥がれ、ソックスを血で染めながらも最後まで走り切ったのは、国を背負い仲間の声援を背に受ける、デビスカップ特有の緊張感と一体感ゆえだった。

 それほどに選手として強い思い入れがあったからこそ、次は監督として、夢を叶えたいとの思いは誰よりも強い。

 添田新監督が目指す地点とは? そして、日本男子テニスを導くビジョンとは? その問いにも彼は、間を置くことなく、即答した。

「まずは計画性を持って、2年後、4年後、6年後と区切って考えていきたいと思っています。一戦一戦で集中し勝ちにいくのはもちろんですが、このスパンで考えれば、良い流れでうまく世代交代もできると思っています。もちろん圭や西岡、ダニエルが6年後まで強ければ良いですが、そうもいかないでしょう」

 だから……と、彼は少し言葉を区切ってから、断固たる口調で続けた。

「強い日本、層の厚い日本にすることが、僕の使命だと思います」と。

取材・文●内田暁

【PHOTO】添田が思い出の試合に挙げたジョコビッチ戦ほか、2019楽天オープンでの日本選手プレー集
 

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