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国内テニス

元野球少年がテニスに向いているいくつかの理由。イチローはテニスでも一流になった可能性が!

甘利隆

2019.12.04

バットの先端を落としてミートするイチローのスイングは、テニスのスイングとほぼ変わらない。(C)Getty Images

バットの先端を落としてミートするイチローのスイングは、テニスのスイングとほぼ変わらない。(C)Getty Images

 スイングに関する特異な例として、2019年に日本で感動的な引退をしたイチローがいる。

 前述したように“ボールへ最短距離で上から下に振る”意識の選手が多いなか、イチローはテニスでいう“ラケットダウン”のような動きをスイングの中に入れている。

 その動作によりボールを点ではなく、面的に捉えられ、ボールをギリギリまで見極められるので、高いアベレージをキープできたのだ。

 メジャーリーグでシルバースラッガー賞1回、ゴールドグラブ賞を8回受賞したジム・エドモンズ氏が、かつてTV解説で「眼とスイングの連動が素晴らしく、あたかもテニスをしているかのようだ。ボールを好きなところに飛ばしている」と語ったように、イチローはテニスでいう“プレースメント”の概念を野球に持ち込んで、自らのヒットゾーンを増やしていたのかもしれない。ネクストバッターズサークルでの“下から上に振る”独特の素振りがその意図を物語っている。

 イチローほど極端ではないものの、現・東京ヤクルトスワローズの青木宣親にも同様の意識が垣間みられ、一般的にホームランバッターよりも確率を重視するアベレージヒッターのほうがテニスに適応しやすいと考えられる。

 両手で打つ野球のスイングでは近年後ろ側の腕の使い方が重要視されており、そのあたりも“両手バックは左手のフォアの意識(右利きの場合)で打つ”といわれるテニスと親和性が高いといえるだろう。
 
【バイプレーヤーはダブルスで本領発揮】

 一般レベルだとシングルスよりもダブルスで試合を楽しまれる方が多いが、その場合、ネットプレーの巧拙が勝敗を分ける場合も多い。

 そんなダブルスにうってつけなのがバントなどの小技を得意とするバイプレーヤータイプ。飛びついてのボレーはまさに野球のスクイズだし、バイプレーヤータイプは俊敏な野手でチームプレーの意識が高いので、コンビネーションが重要なダブルスではその優れた特性を生かせるだろう。

 このようにテニスと野球の共通点をやや強引に結びつけてみたのだが、健康志向が高まる現代において、昔他のスポーツを楽しんでいた方々を取り込むのは競技人口増加の面でも“当事者感”を持って興行を支えてもらう面でも有効だ。

 現在テニスをプレーされていて、周りにスポーツ経験者がいる方、野球経験者ならすぐそばに多くいるはず。ぜひ一度コートにお誘いしてみてはいかがだろうか?

文●甘利 隆
東京造形大学デザイン科卒業。
都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。
Twitter:ama_super

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