現在行なわれている男子テニスツアーのマスターズ1000シリーズ「シンシナティ・オープン」（８月７日～18日／アメリカ・シンシナティ／ハードコート）に出場している世界ランキング６位のベン・シェルトン（アメリカ）が、初戦に先駆けて応じた記者会見で自身の好調ぶりについて語りつつ、今後に向けての意気込みを明かした。

　2022年５月に行なわれたNCAA全米学生テニス選手権でチャンピオンに輝き、同年８月にプロに転向した22歳のシェルトンは、翌23年の「全豪オープン」（四大大会）に出場するまで１度も母国を出たことがなかったというのが信じられないほどの凄まじい成長を見せてきた。

　今季は１月の全豪で四大大会２度目のベスト４に進出すると、７月の「ウインブルドン」（イギリス・ロンドン／芝コート）でも初の８強入り。さらには先日の「ナショナルバンク・オープン」（７月27日～８月７日／カナダ・トロント／ATP1000）決勝でカレン・ハチャノフ（ロシア／現12位）を破って四大大会に次ぐグレードのマスターズ1000初優勝を飾り、キャリア最大のタイトルをゲットした。

　今年６月に初のトップ10入りを達成し、現在キャリアハイの６位につけているシェルトンは最近の好調の秘訣として「自分のプレーに自信が持てるようになった」とコメント。その上で自身の最大の武器である強力なサービスを生かした試合展開が作れていることが良い結果につながっていると明かした。
  「僕のような強烈なサービスを打つ相手との対戦が難しいのはわかっているから、試合ではその部分を生かそうとしている。僕自身もライリー・オペルカ（アメリカ／元17位／現73位）やガブリエル・ディアロ（カナダ／現35位）、テイラー・フリッツ（アメリカ／現４位）といった強力なサービスを武器に持つ選手と対戦してきたが、基本的にはリターンゲームでほとんどチャンスを作れない難しい試合になる。だから相手が僕と対戦する時にイライラするような展開を作りたいと考えながらプレーしている」

　また最近はメンタル面でも充実しているとシェルトンは手応えを口にする。とはいえ現状に100％満足しているわけではなく、ここからさらなる高みを目指すことに集中したいと意欲を示した。

「周囲からのプレッシャーはほとんど感じていない。一方で自分自身にかけるプレッシャーは大きくなっているが、悪いことも起こる時は起こると割り切っているし、最近の自分のプレーには満足している。ただツアーのレベルは非常に拮抗しているから、いつ（格下の）誰かに驚かされるかはわからない。逆に自分が（格上の選手を）驚かせることもあるだろう。とにかく周りの期待は気にせず、自分の目標に集中している。今シーズンが終わる頃に、どこまで成長できたか、何を改善すべきかを見極めるつもりだ」

　なお今回のシンシナティOPにシェルトンは第５シードで参戦しており、初戦となった２回戦（シード勢は１回戦免除）は対戦相手のカミロ・ウーゴ・カラベリ（アルゼンチン／同47位）の途中棄権により勝利。３回戦では元世界９位のロベルト・バウティスタアグート（スペイン／同53位）と対戦する。

文●中村光佑

【動画】シェルトンがマスターズ1000初優勝を飾った「ナショナルバンク・オープン」決勝ハイライト

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