今年10月に2026年シーズンでの現役引退を表明した男子テニス元世界ランキング６位のガエル・モンフィス（フランス／現68位）が、母国フランスの大手民放メディア『RTL』のインタビューで明かした“引退後の計画”が驚きを与えている。

　現在39歳のモンフィスは２歳でテニスを始め、04年にプロに転向。05年のソポト（ポーランド／クレーコート）でツアー初優勝を達成し、現時点で通算13タイトルを獲得している。サッカー選手だった父親の運動能力を受け継ぎ、アクロバティックなプレーや長い手足を生かしたコートカバーリング力などで観客を沸かせてきた。

　40歳となる来季にキャリア最後のシーズンを迎えるモンフィスには引退後のプランが明確にあり、新たな分野への挑戦を見据えている。「金融業界で働きたい」そうで、「すでに幾つかの研修コースを受講」しており、「プライベートバンクでの実務研修も受けている」とまで言うのだ。

　しかし、彼が思い描く“第２の人生”はそれだけではない。なんと今回のインタビューでは、ゆくゆくはマジシャンとして本格的に活動する意向も明かしている。元々マジックは「大きな情熱の１つ」で、今後は修業も兼ねて「多くの時間と努力を注ぎ込むことを真剣に考えている」とコメント。意外性はあるものの、エンターテイナーとしても名を馳せてきたモンフィスらしい発想ではある。
  　セカンドキャリアへの楽しみを抱くモンフィスだが、やはり引退という決断は簡単なものではなかった。中でも「最もつらかった」と振り返るのが、自身をずっと支え続けてくれた父親に現役を退くことを伝えた瞬間だった。

「父は40年もの間、僕にテニスへの愛を伝え、できる限りのことを教えてくれた。引退を伝える瞬間はとてもつらかったが、父は僕の決断を受け入れてくれた。僕がテニスを愛さなくなったわけではなく、人生における次のステージへ進む自然な流れなのだと理解し、安心した様子だった」

　その上で今は自分の決断に納得していると締めくくった。

「自分に全てを与えてくれたスポーツに別れを告げる準備はできている。今でもテニスを愛しているし、これからもずっとそうだろう。ただ、この年齢になると、試合後の回復が非常に難しい。それに時間を捧げたい家族もいるから、引退は自然なこと。全ての物事には終わりがある」

　引退後は、ファンもきっとモンフィスを恋しく思うだろう。だからこそ来年は、彼の一つひとつのプレーを目に焼き付けたい。

文●中村光佑

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