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海外テニス

「全米オープンで優勝しなければよかった」受難続きの20歳ラドゥカヌが苦悩を明かす「大人な選手にならないといけない」<SMASH>

中村光佑

2023.06.20

精神的な重圧に加え、両手首と足首のケガに悩まされているラドゥカヌは、「ウインブルドン」欠場をすでに表明している。(C)Getty Images

精神的な重圧に加え、両手首と足首のケガに悩まされているラドゥカヌは、「ウインブルドン」欠場をすでに表明している。(C)Getty Images

 女子テニス界のニューヒロインとして注目を浴び続けている元世界ランク10位のエマ・ラドゥカヌ(イギリス/現130位/20歳)が、母国イギリスのニュースメディア『The Sunday Times』のインタビューに登場。受難続きの日々を送る中で長らく抱えている苦悩を明かした。

 ラドゥカヌといえば2021年の全米オープンで予選から全てストレート勝ちを収めて四大大会初優勝を果たし、女子テニス界に衝撃を与えたことがファンの記憶に新しい。ところがそれ以降はほとんど結果を残せておらず、23年シーズンに入ってからも度重なるケガや、体調不良に苦しめられている。

 欧州クレーシーズンに入ってからはコンディションも悪化。早期敗退や大会欠場が続いたことで、4月下旬に更新された世界ランキングでは全米優勝後初めてトップ100から陥落した。先日の全仏オープンも負傷で欠場を余儀なくされたラドウカヌは、現在も両手首と足首のケガに悩まされており、2週間後に母国で開幕する四大大会「ウインブルドン」(7月3日~16日/芝コート/イギリス・ロンドン)についてもすでに出場辞退を表明している。

 大きな期待を寄せられている中で苦しい状況が続いていることに、ラドゥカヌ自身ももどかしさを抱え続けていると語る。2年前にニューヨークの舞台で頂点に立った思い出も逆にプレッシャーになってしまっているのか、「時々私は全米オープンで優勝しなければよかった、あんなことが起こらなければよかったと思うことがある」と発言した。
 
 怒涛の快進撃で勝ち上がった一昨年の全米は、当時18歳で失うものが何もなかったこともあり、「私はあの時は正気とは思えないほど、何も考えずに身体を動かせていた」と言う。最終的に自身の想像をはるかに超える結果を得られたラドゥカヌだったが、全米を制して以降は日々押し寄せる重圧に耐え続けるために「いち早く大人な選手にならないといけないと思っていた」と明かした。

 そのうえでラドゥカヌはここ数年間でプロテニス選手としてファンの期待に応え続ける難しさがよくわかったとコメント。「精神的に本当に苦しかった」と前置きしつつ、インタビューの最後をこう締めくくった。

「この2年間でツアーやそれに付随する全てのことが、とても素敵で信頼できる、安全な空間ではないことに気付いた。私はプレーする中で大きな重圧を抱えていたし、自分の全てを内に秘めるような感じで振舞っていた。本当につらかった。人々は(ある1つのことについて)何が起こっているのかがわかっていなくても、それに対して批判的な見方を示してくる。私はとても若く、まだ学んでいる段階で、間違いも犯す。人々の前でミスをして、皆がそれについて何か言っている時は、もっと大変だと感じる」

「私はたくましさも忍耐強さも兼ね備えている」と自負するラドウカヌだが、今回のインタビューでは何らかのSOSを発したかったのかもしれない。今もなおメンタル面で苦しんでいるのがわかるだけに、周囲の人間が彼女をしっかりと支えていってほしい。

文●中村光佑

【30コマの超連続写真】テイクバックが身体の前面に収まっているラドゥカヌのフォアハンド

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