テニスの四大大会「全仏オープン」は大会14日目の現地6月10日に女子シングルス決勝を実施。ディフェンディングチャンピオンのイガ・シフィオンテク(ポーランド/世界ランキング1位)が、ノーシードのカロリナ・ムチョバ(チェコ/同43位)を6-2、5-7、6-4のフルセットで下し、タイトル防衛を果たした。
ベアトリス・ハダッドマイア(ブラジル/同14位)との準決勝までは1度もセットを落とさずに勝ち上がり、殊勲の大会2連覇に王手をかけていた22歳のシフィオンテク。ローランギャロスで抜群の強さを見せる絶対女王が決勝で対峙したのは、度重なるケガで一時200位台までランキングを落としていた26歳のムチョバだ。2人は2019年のプラハ・オープン(WTA250)の1回戦で1度だけ対戦しており、この時はムチョバが4-6、6-1、6-4の逆転でシフィオンテクに勝利していた。
この日の決勝で先に主導権を握ったのは、ここまで順調に勝ちを重ねてきたシフィオンテクだった。ムチョバが得意のスライスを駆使してラリーのペースを落とそうと試みるもシフィオンテクはなりふり構わずラケットを振り抜き、うまくミスを回避しながら当たりの厚いストロークでポイントを量産していく。随所にムチョバが技ありのショットを繰り出そうとも絶対女王らしい落ち着いたプレーで流れを渡さず、第2、8ゲームでブレークに成功。詰めの部分でムチョバがミスを繰り返したことにも助けられ、48分で第1セットを先取する。
勢いに乗るシフィオンテクは第2セットに入ってからも強打と持ち前の粘り強いディフェンスでムチョバの攻めを落ち着いてかわし、第1ゲームから3ゲームを連取。この時点で勝負は決したかに見えた。だがここからは徐々にリズムをつかんでいくムチョバの鋭いフォアハンドに苦戦を強いられる場面が目立ち始め、自身のミスも増えて計3度のブレークを献上。勝負の行方はファイナルセットへと持ち込まれる。
なかなかポイントが取れない状況が続くシフィオンテクは第1ゲームでいきなりブレークを奪われると、緊迫した攻防が繰り広げられる中で迎えた第7ゲームでもブレークを許す苦しい展開に。それでも女王はあきらめなかった。相手の攻撃的なショットをことごとく拾ってミスを引き出しつつ、隙あらば強打で攻めていったシフィオンテクが終盤の第8ゲームから3ゲームを連取して勝負あり。苦しみながらも2時間30分を超える死闘をものにした。
ちなみに女子シングルスでの全仏連覇は05年大会から3連覇を達成したジュスティーヌ・エナン(ベルギー/元世界1位)以来実に16年ぶり。試合後の表彰式でシフィオンテクは両手で思い切り上に掲げたトロフィーの蓋を落としてしまうというハプニングに見舞われながらも、優勝スピーチでは大会関係者に向けた感謝の言葉を口にした。
「私はここ(全仏)でプレーするのが本当に好きで、お気に入りの場所でもあります。大会主催者、スポンサー、裏で大会を支えてくれている方々など、皆さんに感謝したいです」
昨年同様にクレーシーズンを最高の形で締めくくったシフィオンテク。今後のさらなる活躍に期待したい。
文●中村光佑
【PHOTO】シフィオンテクら全仏オープン2023で躍動した女子選手の厳選写真!
ベアトリス・ハダッドマイア(ブラジル/同14位)との準決勝までは1度もセットを落とさずに勝ち上がり、殊勲の大会2連覇に王手をかけていた22歳のシフィオンテク。ローランギャロスで抜群の強さを見せる絶対女王が決勝で対峙したのは、度重なるケガで一時200位台までランキングを落としていた26歳のムチョバだ。2人は2019年のプラハ・オープン(WTA250)の1回戦で1度だけ対戦しており、この時はムチョバが4-6、6-1、6-4の逆転でシフィオンテクに勝利していた。
この日の決勝で先に主導権を握ったのは、ここまで順調に勝ちを重ねてきたシフィオンテクだった。ムチョバが得意のスライスを駆使してラリーのペースを落とそうと試みるもシフィオンテクはなりふり構わずラケットを振り抜き、うまくミスを回避しながら当たりの厚いストロークでポイントを量産していく。随所にムチョバが技ありのショットを繰り出そうとも絶対女王らしい落ち着いたプレーで流れを渡さず、第2、8ゲームでブレークに成功。詰めの部分でムチョバがミスを繰り返したことにも助けられ、48分で第1セットを先取する。
勢いに乗るシフィオンテクは第2セットに入ってからも強打と持ち前の粘り強いディフェンスでムチョバの攻めを落ち着いてかわし、第1ゲームから3ゲームを連取。この時点で勝負は決したかに見えた。だがここからは徐々にリズムをつかんでいくムチョバの鋭いフォアハンドに苦戦を強いられる場面が目立ち始め、自身のミスも増えて計3度のブレークを献上。勝負の行方はファイナルセットへと持ち込まれる。
なかなかポイントが取れない状況が続くシフィオンテクは第1ゲームでいきなりブレークを奪われると、緊迫した攻防が繰り広げられる中で迎えた第7ゲームでもブレークを許す苦しい展開に。それでも女王はあきらめなかった。相手の攻撃的なショットをことごとく拾ってミスを引き出しつつ、隙あらば強打で攻めていったシフィオンテクが終盤の第8ゲームから3ゲームを連取して勝負あり。苦しみながらも2時間30分を超える死闘をものにした。
ちなみに女子シングルスでの全仏連覇は05年大会から3連覇を達成したジュスティーヌ・エナン(ベルギー/元世界1位)以来実に16年ぶり。試合後の表彰式でシフィオンテクは両手で思い切り上に掲げたトロフィーの蓋を落としてしまうというハプニングに見舞われながらも、優勝スピーチでは大会関係者に向けた感謝の言葉を口にした。
「私はここ(全仏)でプレーするのが本当に好きで、お気に入りの場所でもあります。大会主催者、スポンサー、裏で大会を支えてくれている方々など、皆さんに感謝したいです」
昨年同様にクレーシーズンを最高の形で締めくくったシフィオンテク。今後のさらなる活躍に期待したい。
文●中村光佑
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