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海外テニス

“テニス界のスター候補”21歳シェルトンがジャパンOP決勝進出!「今はテニスを楽しめている」<SMASH>

内田暁

2023.10.22

初めて訪れた有明で圧巻のプレーを披露している21歳のベン・シェルトンが自身初となるツアー決勝進出を決めた。写真:梅月智史(THE DIGEST写真部)

初めて訪れた有明で圧巻のプレーを披露している21歳のベン・シェルトンが自身初となるツアー決勝進出を決めた。写真:梅月智史(THE DIGEST写真部)

「最高の雰囲気だった! 応援してくれてありがとう!」
 
 2時間50分の大逆転劇を演じたベン・シェルトンが、客席のファンに謝意を述べると、歓声と拍手は一層ボリュームを増した。先の全米オープンでベスト4入りした、躍進著しい21歳。左腕のビッグサーバーは“テニス界のスター候補”ではあるが、来日は今回が初である。それだけに自身に向けられた声援に、本人もうれしい驚きを隠せない様子だった。

 もっとも、準決勝でのシェルトンのパフォーマンスは、彼を初めて見た人々を惹きつけるに十分だった。

 半年前の対戦で敗れているマルコス・ギロン相手に、第1セットは逆転でタイブレークの末に取られる。第2セットはギロンの強烈なストロークに押され、ゲームカウント2-5で相手のサービスという、後のないところまで追い込まれた。

 だが、今季スタート時に96位だったランキングを19位まで駆け上ったライジングスターは、諦めない。

「このまま同じリズムで戦っていては勝ち目はない。リターンで攻めたり、セカンドサーブでもサーブ&ボレーをしたりと、相手を驚かせるようなプレーをしよう」
 

 そう自分に言い聞かせたシェルトンは、高く上げたリターンポジションから攻めて、まずは一つブレークバック。そうして続くゲームをキープした時、潮目は変わりはじめた。

 自らを鼓舞するように叫び、拳を振り上げ、闘志と情熱をほとばしらせる。左腕のシャツの袖を肩までまくり上げ、時速230㎞を越えるサーブを叩き込むと同時に前へと駆け、ボールへ飛びつき豪快にボレーやスマッシュを叩き込んだ。4ゲーム連取で追いついたシェルトンが、タイブレークの末に第2セットを奪い返す。

 第3セットも激しいつばぜり合いが続くが、ゲームカウント3-3からブレークで抜け出したシェルトンが、観客の声援を背に加速した。

 マッチポイントでは客席から、「いけるよ!」と日本語の激が飛ぶ。その声に応えるかのように、破裂音をとどろかせて、センターへとサービスを叩き込んだ。スクリーンに表示されたスピード速度は「226」。湧き上がる大声援に、勝者は手を突き上げて応じた。
 
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