テニスボールはラケットを使って打ちます。けれどもボールと直接触れるのは、ラケットに張られている「ストリング（糸）」です。そのためストリングの知識を深めることは、テニスの上達にも影響するとても大切なことなのです。

　知っているようで、あまり知られていないストリングのこと。そこでストリングやラケットに関する素朴な疑問をプロのストリンガー（ストリングを張る人）に答えてもらいました。

　今回のテーマは「スピンのかかりをよくするストリングや設定」についてです。

　ボールにスピン（回転）をかけるには、打ち方（スイングのやり方）も大切ですが、ストリングや設定をスピンに適した状態にすれば、よりボールに回転を与えやすくなります。ではどうすればいいのか、ストリンガーに聞いてみました。

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　ストリングの素材は多数ありますが、細い方がスピンはかかりやすいです。

　ナイロン製のストリングは腕の負担も低いので、スタートはナイロンの細いゲージから試すのが良いです。ただし細いストリングは耐久性が低いので、すぐに切れるようになったら耐久性のあるポリエステル製の細ゲージへの移行を考えてください。

　ポリエステル製ストリングは、多角形や表面に凹凸加工しやすいので、同じ太さでもスピン性能を上げることもできます。
　
　設定ですが、テンション（ストリングを張る力）の低い方がストリングが動きやすいのでスピンはかかりやすいです。スピンをかけるために重要なのは、ストリングを動きやすくすることです。
  　ただ、テンションを低くしすぎるとストリングの戻りが悪くなるので、スピンがかかりません。低くするのも限度があります。動いたストリングが元の状態に戻っていく力を使ってスピンがかかるので、ある程度強く張ることもポイントです。

　筋力などの個人差もありますが、たとえば男性であれば平均で46～52ポンドが目安。そこから３～５ポンドずつ調整して、自分のスイングスピードに合ったテンションを見つけてください。

　性能が落ちているストリングを使用してしまうと適正な強さがわからないので、定期的な張り替え（ポリエステル製＝１カ月、ナイロン製＝３カ月毎）も大切です。

解説：大井孝亮（テニスサポートセンター）
取材協力●テニスサポートセンター

構成●スマッシュ編集部
※2023年６月号より抜粋・再編集

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