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海外テニス

全豪OP初出場の望月慎太郎が逆転勝利で予選1回戦を突破!「今年の1勝目というのが、僕の中では一番大きい」<SMASH>

内田暁

2024.01.10

全豪OP予選1回戦で、第1セットを奪われリードを許した望月だったが、第2セット以降は落ち着いたプレーで主導権を握り、逆転で勝利を収めた。写真:内田暁

全豪OP予選1回戦で、第1セットを奪われリードを許した望月だったが、第2セット以降は落ち着いたプレーで主導権を握り、逆転で勝利を収めた。写真:内田暁

 望月慎太郎にとっての全豪オープンテニスは、4ポイント連続で落とし、いきなりブレークされる幕開けだった。

「相手が良いプレーだったし、自分もやっぱり緊張があった」

 朴訥な口調で振り返る彼は、ぽつりと続ける。

「ここで試合すること自体、初めてなので」……と。

 世界ジュニアランキング1位の実績を思えば意外だが、望月がメルボルン・パークに立つのは、今回が初めてだった。“グランドスラム・オブ・アジア/パシフィック”を謳う全豪オープンではあるが、アメリカを拠点とした望月にとって、オーストラリアは遠い異国。縁や巡り合わせの薄い地だった。

 未経験のコートに加え、シーズン開幕戦の香港(ATP250)では初戦敗退を喫していることもあり、立ち上がりは経験不足ゆえの焦りや攻め急ぎもあったという。

 ただ第1セットの後半あたりから、「ラリーを続けても大丈夫」との手応えを得た。

「セカンドセットからは少しペースを落として、前に出るだけではなく、我慢してやろうと思えた」

それが、「一番良かった点」だと、試合後に望月が述懐する。
 
 深いフォアと鋭利なバックのアングルショットを組み合わせ、ジリジリとラリーを支配し、相手のボールが浅くなるや迷わず前へ――。

 突如として落ち着き払った望月のそのプレーに、今度は相手に焦りが出始めた。第2セット最初のゲームを相手のダブルフォールトでブレークした望月は、6ゲーム連取で第2セットを奪取。相手はトイレットブレークで流れの断ち切りを測るも、望月は一度手にした主導権を放さない。最終セットも6-2でつかみ取る、鮮やかな逆転勝利だった。

 昨年の夏、北米の跳ねるハードコートで「相手のパワーにボコボコにされた」と苦く笑った望月だが、全豪のコートは比較的速め。その点も、望月にとってはプラス要因かもしれない。

「ここで勝ったというより、今年の1勝目というのが、僕の中では一番大きい」

 勝利から時間が経つにつれ、胸を満たすのは歓喜より安堵。

 真っさらなコートに白星の足跡を刻み、地元選手が待ち受ける、アウェーの予選2回戦へと進む。

現地取材・文●内田暁

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