専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

全豪オープン男子決勝はシナーVSメドベージェフ!“ビッグ3”のいない頂上決戦はなんと2005年以来!<SMASH>

内田暁

2024.01.28

シナー(左)が勝てば、2008年のジョコビッチ以来の年少チャンピオン。メドベージェフ(右)が勝てば、21年全米オープンに次ぐ2度目のメジャータイトルとなる。(C)Getty Images

シナー(左)が勝てば、2008年のジョコビッチ以来の年少チャンピオン。メドベージェフ(右)が勝てば、21年全米オープンに次ぐ2度目のメジャータイトルとなる。(C)Getty Images

「運命を信じている」――そう言ったのは、全豪オープンテニス女子決勝進出を決めた時の、ジャン・チンウェン(中国)だった。同国の英雄、リー・ナが初のグランドスラムトロフィーを、ロッドレーバーアリーナで掲げたのが2014年。テレビの前にかじりつき応援していた当時11歳の少女は、10年後に自分が同じ場所にたどり着いた事実に、「運命」的な巡り合わせを感じていたという。

 巡り合わせと……いうことでいうのなら、今大会は男子の方で、一層の歴史の符号が見られたかもしれない。

 メルボルンで10度もトロフィーを掲げた世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、今大会でも圧倒的な優勝候補と目されていた。“レジェンド”部門に出場した2002年全豪チャンピオンのトーマス・ヨハンソン氏も、「もしジョコビッチが優勝しなかったら、驚きに価する」と言ったほどだ。

 そのジョコビッチが、準決勝で敗れた。勝者は、ヤニック・シナー(世界4位)。イタリアの22歳は、昨年11月のATPファイナルズのラウンドロビン、そしてデビスカップでもジョコビッチを破った“ストップ・ザ・ノバク”の最右翼。
 
 そのような実績も、シナーに自信をもたらしていただろうか。圧巻のサービスで終始試合を支配し、最初の2セットを1時間15分ほどで奪った。この頃から試合の世界配信映像には、「ジョコビッチが最後に全豪オープンで敗れてからの時間」がリアルタイムで表示され始める。示された数字は、「2019日と18時間」以上。それは2018年1月。4回戦でジョコビッチが、当時21歳のチョン・ヒョン(韓国)に敗れて以来のことだ。

 それから6年後のシナー戦。第3セットはジョコビッチがタイブレークの末に奪ったが、53分を要した第4セットは、シナーの手に渡る。最終スコアは、6-1、6-2、6-7(6)、6-3。この瞬間、シナーは「2008年以降で最も若い、全豪オープン男子単決勝進出者」となった。なお、16年前の記録の保持者は、当時20歳のジョコビッチ。さらに彼は、ジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)との決勝も制して頂点に立つのである。

 このジョコビッチの優勝は、新たな時代の幕明けと目された。当時は既に、ロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)が2強時代を築き始めていた時分。そこに割って入ったのが、“第3の男”と呼ばれたセルビアの新鋭だ。そしてこの後、“ビッグ3”による支配が長く続いたのは、周知のとおり。ただそのフェデラーも一昨年に引退し、ナダルも今大会はケガにより欠場している。
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号