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海外テニス

「三度目の正直です」内島萌夏が全仏オープン予選突破!マッチ18連勝と絶好調の22歳が悲願の大舞台へ<SMASH>

内田暁

2024.05.26

全仏初出場を決めた内島は5月初旬の岐阜大会から18試合負けなしと驚異的な強さを発揮している(写真は今予選2回戦終了後)。写真:内田暁

全仏初出場を決めた内島は5月初旬の岐阜大会から18試合負けなしと驚異的な強さを発揮している(写真は今予選2回戦終了後)。写真:内田暁

「やっとです! 三度目の正直ですよ!」

 勝利後にベンチに引き上げてきた彼女は、溶けそうなほどに顔をほころばせ、喜びの声をあげた。

 テニス四大大会の全仏オープン予選には過去2度出場し、いずれも決勝戦で敗退。特に昨年は、試合が進むにつれ調子を上げるも、相手の背を捕らえるには一歩及ばなかった。

 全米オープンでも過去2度、予選決勝で敗退。昨年の全豪オープンにはワイルドカード(主催者推薦)で出場した内島萌夏(世界ランキング80位)ではあるが、予選を勝ち抜き自ら本戦の切符を勝ち取ったのは、これが初めてだった。

 内島の豊かな才能は、彼女が16歳の頃から、関係者の耳目を集めていた。2018年4月のフェドカップ(ビリー・ジーン・キング・カップ)対英国戦では、“サポートメンバー”として日本チームに帯同。その僅か2週間後のカンガルーカップでは、ワイルドカードでの出場ながら、決勝まで駆け上がった。

 その決勝で対戦したのが、当時の日本のエース、奈良くるみ。その奈良は、フェドカップで内島を初めて見た時に、衝撃を受けたという。
 
「打つボールからして、この子は違うなと。こんなこと言うと偉そうに聞こえますが、うまく育てば本当に楽しみな選手だなと思った」

 6年前のちょうどこの時期、現ビリー・ジーン・キング・カップ日本代表コーチの奈良は、内島の未来を予見していた。

 ただその後の内島の歩みは、必ずしも順風満帆とは言えないかもしれない。

 プロ転向後は、コーチを含めた拠点を築くのに時間を要した。

 2019年末に、中国の名伯楽、アラン・マーとの知己を得て彼のアカデミーを拠点とするも、翌年のパンデミックにより、中国国内に閉じ込められた。

 ただこの期間を、内島は「良かった」と振り返る。サービスのフォームからフォアハンドのグリップまで、技術面に細かくメスを入れられたからだ。

 2022年に迎えた最初のブレークは、それら改革の成果。年末には、ランキングも104位に達した。

 翌年は足踏みを強いられるが、それもテニスの世界では珍しくない物語。高まる自分への期待と重圧、そして戦いのステージが上がったことによる苦戦……それらの通過儀礼を、彼女は正しく踏破していった。
 
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