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海外テニス

キャリア終盤でラケット変えた元王者マリーの飽くなきチャレンジ精神!「最後にもう一度、センターコートでプレーしたいんだ」<SMASH>

内田暁

2024.07.02

今夏の引退を示唆するマリーがラケットを変えるという決断を下したのには彼らしい理由があった(写真はウインブルドンでの練習時)。(C)Getty Images

今夏の引退を示唆するマリーがラケットを変えるという決断を下したのには彼らしい理由があった(写真はウインブルドンでの練習時)。(C)Getty Images

 アンディ・マリーが、ラケットを変えた――。

 そんな衝撃がテニス界を駆けたのは、5月中旬のことだった。自らがソーシャルメディアに挙げた動画には、見慣れたヘッド社製ではなく、青と黒を基調としたヨネックス社のそれを振るう彼の姿があった。

 果たして全仏オープンを控えた5月下旬、前哨戦のコートに戻ってきたマリーの手には、ヨネックスの『Eゾーン100』が握られていた。

「マリー選手のエージェントから、ヨネックスのラケットを使う予定だとの連絡をもらったのは、本当にフランスのATPチャレンジャーに出る直前でした」

 ヨネックス社の選手サポート担当者が、その時を振り返る。

「マリー選手とは契約はしていませんが、大きなニュースになるだろうし、色々と準備が必要になるかもしれないということで、その対策を緊急で考えたりしました」

 実際にマリーのラケット変更は、英国の『ガーディアン』紙などでも大きく取り上げられる。担当者が今年の全仏オープンの会場を歩いていても、関係者や観客たちの「マリーはヨネックスにラケットを変えたんだね」の声を多く耳にしたという。

 マリーは、現在37歳。20年のプロキャリアを誇り、その間に3度のグランドスラムチャンピオン(ウインブルドン2回、全米1回)に輝いたほどの選手が、キャリア終盤にきてラケットを変えることはまれ。それも、契約等とは無関係に新たな相棒を選んだ事実は、英国の英雄的選手が、いかに未だ勝利を渇望しているかを物語る。なおマリーとヨネックス社は、今(7月1日現在)も契約は結んでいない。
 
 全仏オープン開幕前、マリーはラケットを変えた理由や過程を、次のように明かしていた。

「僕はヘッドのラケットを24年ほど使っていた。テニスは、キャリアを通じて用具を変える選手が少ないという意味で、少し変わったスポーツだと思う。僕がツアーを転戦してきた20年の間に、ラケット産業も変化し、進化しているのだから、新しいことを試してみたいと思った。キャリアを終えた時、別の可能性にトライしたら良かったなと後悔したくなかった。

 実際に、ラケットを選ぶプロセスは楽しかった。リハビリ期間中に、自分で色々とテストした末に、本当に気に入ったものを選ぶことができた。もちろん、少し感触は変わるが、今の僕にとって必要な挑戦だと思う」
 
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