5時間30分にも及ぶ壮絶な死闘の末にカルロス・アルカラス(スペイン/世界ランキング2位)がヤニック・シナー(イタリア/同1位)を破って大会連覇を果たした先の全仏オープン決勝には、今もなお多くのファンが余韻に浸っているが、数日後には早くも今シーズン3つ目の四大大会「ウインブルドン」(6月30日~7月13日/イギリス・ロンドン)の開幕が控えている。
両者は聖地ウインブルドンでも優勝候補に挙がっているが、パリでの優勝で得た自信や芝への順応性の高さ、さらには前哨戦の「HSBC選手権」(6月16日~22日/イギリス・ロンドン)を制したことなどから、アルカラスがシナーよりも優勢だと見る声が多い。そもそもアルカラスはウインブルドンを2連覇中なのだからなおさらだ。
そうした見方をする人物の一人が、元プロテニス選手で四大大会20勝を誇るロジャー・フェデラー(スイス/元1位)を指導した経験を持つイワン・リュビチッチ氏(クロアチア/46歳)だ。同氏は先日応じたイタリアのスポーツメディア『ガゼッタ・デロ・スポルト』のインタビューでアルカラスの芝での強さに驚きを示した。
「アルカラスは芝でうまくプレーするための全てを備えている。リターンも動きも良く、パワーもある。彼はすぐに芝で感覚をつかんだわけだ。芝は特別なサーフェスで、すぐに感覚をつかむか、苦しむかのどちらかになりがちだ。私自身は苦戦したが、フェデラーもカルロスと同じく、すぐに芝でのフィーリングをつかんでいたよ」
一方でリュビチッチ氏は23年のウインブルドンで初のベスト4入りを果たしたシナーについても「理論上は芝でもうまくプレーできるはず」としつつ、「アルカラスと同じ感触は得られないだろう」と分析する。
「シナーもサービスの成長を足がかりに、芝でも力をつけてきている。だがシナーのように、試合を細かくコントロールしたい選手にとっては、芝のように予測の難しいサーフェスはやりづらい面もある」
さらに同氏は全仏オープン決勝でチャンピオンシップポイントを3本握りながら大逆転負けを喫したシナーが、アルカラスに5連敗中であることについても言及。「唯一勝てていない相手だけに、どうしても意識せざるを得ないだろう」と語る一方で、ウインブルドンですぐにリベンジの機会が得られることはシナーのメンタルにとってプラスに働くはずだとも指摘した。
「全仏での敗戦は大きなショックだった。だがそうしたダメージを消すには、すぐ次のグランドスラムで勝つチャンスを得ることが一番だ。パリで負けても、3週間後にはまた大会がある。全米オープンで負けたら次の年の全豪オープンまで待たなければならないのだから、自分を奮い立たせるには理想的なタイミングになる」
ちなみに今回のウインブルドンもシナーが第1シード、アルカラスが第2シードで出場するため、両者が当たるとすれば決勝のみ。願わくは全仏に続いて2人の名勝負が再び見られることを期待したい。
文●中村光佑
【画像】5時間29分に及ぶ死闘!アルカラス崖っぷちから大逆転優勝!シナーとの激闘を厳選ショットで特集
【画像】連覇達成のアルカラスほか、ウインブルドン2024で存在感を放った男子トップ選手たち
【関連記事】アルカラスがウインブルドン前哨戦で優勝!難敵レヘチュカにリベンジ果たしツアー21勝目を飾る<SMASH>
両者は聖地ウインブルドンでも優勝候補に挙がっているが、パリでの優勝で得た自信や芝への順応性の高さ、さらには前哨戦の「HSBC選手権」(6月16日~22日/イギリス・ロンドン)を制したことなどから、アルカラスがシナーよりも優勢だと見る声が多い。そもそもアルカラスはウインブルドンを2連覇中なのだからなおさらだ。
そうした見方をする人物の一人が、元プロテニス選手で四大大会20勝を誇るロジャー・フェデラー(スイス/元1位)を指導した経験を持つイワン・リュビチッチ氏(クロアチア/46歳)だ。同氏は先日応じたイタリアのスポーツメディア『ガゼッタ・デロ・スポルト』のインタビューでアルカラスの芝での強さに驚きを示した。
「アルカラスは芝でうまくプレーするための全てを備えている。リターンも動きも良く、パワーもある。彼はすぐに芝で感覚をつかんだわけだ。芝は特別なサーフェスで、すぐに感覚をつかむか、苦しむかのどちらかになりがちだ。私自身は苦戦したが、フェデラーもカルロスと同じく、すぐに芝でのフィーリングをつかんでいたよ」
一方でリュビチッチ氏は23年のウインブルドンで初のベスト4入りを果たしたシナーについても「理論上は芝でもうまくプレーできるはず」としつつ、「アルカラスと同じ感触は得られないだろう」と分析する。
「シナーもサービスの成長を足がかりに、芝でも力をつけてきている。だがシナーのように、試合を細かくコントロールしたい選手にとっては、芝のように予測の難しいサーフェスはやりづらい面もある」
さらに同氏は全仏オープン決勝でチャンピオンシップポイントを3本握りながら大逆転負けを喫したシナーが、アルカラスに5連敗中であることについても言及。「唯一勝てていない相手だけに、どうしても意識せざるを得ないだろう」と語る一方で、ウインブルドンですぐにリベンジの機会が得られることはシナーのメンタルにとってプラスに働くはずだとも指摘した。
「全仏での敗戦は大きなショックだった。だがそうしたダメージを消すには、すぐ次のグランドスラムで勝つチャンスを得ることが一番だ。パリで負けても、3週間後にはまた大会がある。全米オープンで負けたら次の年の全豪オープンまで待たなければならないのだから、自分を奮い立たせるには理想的なタイミングになる」
ちなみに今回のウインブルドンもシナーが第1シード、アルカラスが第2シードで出場するため、両者が当たるとすれば決勝のみ。願わくは全仏に続いて2人の名勝負が再び見られることを期待したい。
文●中村光佑
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