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海外テニス

ルールの隙を突く“時間稼ぎ”か? ウインブルドン快進撃のシグムンドに識者から批判の声<SMASH>

中村光佑

2025.07.10

スライスやドロップショットなど巧みなプレーでサバレンカを苦しめたシグムンドだが、時間稼ぎとも取れるスロープレーが物議を醸してもいる。(C)Getty Images

スライスやドロップショットなど巧みなプレーでサバレンカを苦しめたシグムンドだが、時間稼ぎとも取れるスロープレーが物議を醸してもいる。(C)Getty Images

 年齢はただの数字に過ぎない――そんな言葉を体現するかのようなプレーで、テニスの聖地「ウインブルドン」を沸かせたのが、女子元世界ランキング27位で37歳の大ベテラン、ラウラ・シグムンド(ドイツ/現104位)だ。

 ノーシードで出場した今大会は1回戦でペイトン・スターンズ(アメリカ/同36位)、2回戦で2021年全米オープン準優勝者のレイラ・フェルナンデス(カナダ/同38位)を破ると、3回戦では今年1月の全豪オープンで四大大会初優勝を飾ったマディソン・キーズ(アメリカ/同8位)をストレートで撃破。4回戦でもソラナ・シエラ(アルゼンチン/101位)に快勝して初の8強入りを果たしたが、準々決勝では現女王のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)に逆転負けを喫した。

 それでも低く滑るトリッキーなスライスや巧みなドロップショットなどを交えた持ち前の多彩なプレーで、聖地に大きなインパクトを残したシグムンド。しかしそんな彼女に一部からは批判の声も上がっている。試合中の度重なる“時間稼ぎ”が問題視されているのだ。

 実はシグムンドは、ツアー内でもポイント間の時間が長い“スロープレーの常習者”として知られており、サバレンカとの準々決勝でもタイムバイオレーション(遅延行為による警告)を受けた。第2セットを落とした直後には、10分弱の間コートを離れた。
 
 海外メディア『tennishead』によれば、シグムンドの遅延行為についてはテニス系ポッドキャスト『Tennis Podcast』でも取り上げられ、司会者でスポーツキャスターのデビッド・ロウ氏は「時間稼ぎが相手に与える影響を彼女が理解していないとは思えない」とコメント。故意に時間をかけて相手の集中力を削ごうとしているのではないかと自身の考えを示した。

 共演者でスポーツコメンテーターのキャサリン・ウィテカー氏はサバレンカ戦のワンシーンに触れながらこう続ける。

「彼女はルールの“穴”を巧みに突いてくる傾向があって、時にやりすぎる場面も見られる。でも今日の試合では一線を越えたと感じた。警告は一度だけだったけど、それで十分だったのか疑問に思う。サバレンカがベースラインでサービスの構えをしていた時に、シグムンドが背を向けて、自陣コートの奥へとゆっくり歩いていった場面もあった。それはまるでサバレンカを挑発しているかのようにも見えた」

 また番組のもう1人の司会者マット・ロバーツ氏もウィテカー氏と同様の意見を述べた上で、審判の対応強化を求めた。「特に相手のサービスで時間を稼ぐ行為には、もっと厳しく対処すべきだと思う。彼女の行為はルール違反とみなされても不思議ではない。彼女は試合のテンポを乱しながら、ルールのギリギリのところを突き、時にはそれを越えてしまっている」

 遅延行為は対戦相手のリズムを乱し、試合の流れにも影響を与えかねない。より良い競技環境を築くためには、今後適切な対応が必要だろう。

文●中村光佑

【動画】フルセットに及んだシグムンドとサバレンカのウインブルドン準々決勝ハイライト

【画像】シグムンドをはじめ、ウインブルドン2025を戦う女子トップ選手たちの厳選フォト

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