現在開催中のテニス四大大会「ウインブルドン」の男子シングルスで初戦敗退を喫し、今大会をもって現役を引退することを正式に発表した元世界ランキング９位のファビオ・フォニーニ（イタリア／現138位／38歳）。

　７月10日にはATPツアーで幾度となくしのぎを削った元世界王者のラファエル・ナダル（スペイン／昨秋引退／39歳）が自身の公式SNSを更新し、輝かしいキャリアに別れを告げた盟友への労いの言葉を送った。

　今季限りでの現役引退を示唆していたフォニーニは現地６月30日に行なわれたウインブルドン１回戦にて、これまでに四大大会５勝を挙げている22歳のカルロス・アルカラス（スペイン）と対戦。5-7、7-6(5)、5-7、6-2、1-6と４時間37分にも及ぶ大激戦の末に惜しくも敗れたものの、今を時めく若手トップ相手に全盛期を想起させる素晴らしいプレーで会場を大いに沸かせた。

　現地７月９日には記者会見に出席し、今回のウインブルドンを最後に現役を退くことを発表。今年５月に母国で開催された「イタリア国際」（クレー／ATP1000）では「今後12カ月以内」に引退する計画を明かしていたフォニーニだったが、予定よりも早くラケットを置く決断を下した。
  “テニスの聖地”でこれ以上ないフィナーレを迎えたイタリアテニス界の英雄を真っ先に労ったのが、四大大会で22度もの優勝を経験した伝説的巨星、ナダルだ。公式Xとインスタグラムのストーリーズ（24時間で自動消去される投稿）を更新し、「あなたの素晴らしいキャリアを祝福します。これからの人生に幸あれ！」とのメッセージを綴っている。

　ちなみにフォニーニは長年男子テニス界を牽引したナダルとツアーで18度対戦して４勝をマーク。中でも２セットダウンからの大逆転劇を演じた2015年の全米オープン３回戦は、今なおファンの記憶に残る名勝負として語り継がれている。また残りの３勝もナダルが最も得意とするクレーコートで挙げたものだった。

　数々の激闘を通じて互いを高め合ってきたフォニーニとナダル。両者の対決がもう見られないのは本当に寂しい限りだが、それぞれがこれからどのような第２の人生を歩むのか、ファンの関心は尽きない。

文●中村光佑

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