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ラグビー

国立で光った195cm・120kgの巨漢フランカー、右腕に刻む『刎頸之交』 血を超えた“家族”を胸に戦うベン・ガンターの素顔

向風見也

2025.10.30

オーストラリア代表戦では迫力のあるプレーが光ったベン・ガンター。(C) Getty Images

オーストラリア代表戦では迫力のあるプレーが光ったベン・ガンター。(C) Getty Images

 これがベン・ガンターだ。

 10月25日、雨に降られた東京・国立競技場。身長195センチ、体重120キロの28歳は、ラグビー日本代表の6番として期待に応えた。
 
 走者へのぶちかまし、分厚い壁へのクラッシュ、ひと仕事を終えてから次の現場へ駆けつける意識と運動量…。競技のポータルサイトである『RUGBY PASS』によると、タックル成功数は「20」で、圧倒的な一撃がカウントされるドミナントタックルは両軍最多の「3」だった。

 対するオーストラリア代表は、戦前の世界ランクで6つ上回る7位の伝統国だ。何より自身の出身地でもある。

 ガンターがこのカードに臨んだのは、ジャパンでデビューした21年10月以来2度目である。

 さかのぼってキックオフを前に、両国の国歌斉唱があった。相手側の曲が流れると、当事者は静かに目を閉じた。

「不思議な感覚でした。幼い頃は、いつかこのような場所で(オーストラリアの)国歌を歌いたいと思っていました。実際には逆の立場になり、ここに立っています。誇らしいことです」

 初来日は2015年。地元に近いブリスベンボーイズカレッジの一員として、福岡での「サニックスワールドラグビーユース交流大会」という国際大会に出た。

 そのツアーの一環で原爆ドームを見て、砂風呂を体験し、さぁ、ここからは自国でプロに挑戦だ、と、意気込んだものの、思い通りにならなかった。

 働き場であるフランカーのポジションに好選手が揃っていたためか、後のハードヒッターは「埋もれてしまっていた」。近隣地域からトップのスーパーラグビーに参加するレッズとは、契約できなかった。

 高校卒業後は、第一線で戦うのを諦めオーストラリア軍入隊を検討した。

 ここに救いの手を差し伸べてきたのが、直近に訪れていた日本の有力チームだった。

 現埼玉パナソニックワイルドナイツだ。10年代に所属していた田中史朗、堀江翔太ら日本代表勢に海外挑戦を奨めてきた国際派集団は、その頃のオーストラリアが原石揃いだと知っていた。

 ガンターもそのひとりだった。練習生を経てサインした16年、19歳6日で当時のトップリーグでの最年少出場記録を更新。段階的に主力となった。
 
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