10月26日に開催されたマリーゴールドのビッグマッチ、両国国技館大会は“歴史”を感じさせるものになった。昨年5月に旗揚げしたばかりの団体だが、その背景には多くのドラマがある。
大会開始前には、熊による被害で亡くなった笹崎勝己レフェリーの追悼セレモニーが行なわれている。テンカウントの後に流れたのは全日本女子プロレス(全女)中継のテーマ曲。笹崎さんは全女でキャリアをスタートさせ、マリーゴールドでも試合をさばいている。
第1試合は田中きずなと心希の新鋭対決。この試合は2世レスラー対決でもある。きずなは田中稔と府川唯未の娘、心希は大向美智子を母に持つ。そして府川と大向は、全女を離れたロッシー小川氏が作った団体アルシオンでタッグを組んでいた。言うまでもなく、小川氏はスターダムの設立者でもあり、現在はマリーゴールドを率いている。
母親同士がセコンドについたきずなvs心希はきずな勝利。メガトンと対戦した“大物M”は鈴木みのるだった。意外すぎるサプライズだったが、実は鈴木はパンクラス旗揚げ前に全女の道場を借りて練習していた時期がある。小川氏とは長い付き合いというわけだ。
メインイベントは小川氏が「女子プロレスで今年一番のカード」と胸を張った、岩谷麻優vsイヨ・スカイ。7年半ぶりの一騎打ちだ。
2人はともにスターダムのトップ選手として活躍したが、イヨはアメリカ・WWEへ。今や世界的スター選手となった。スターダムに残った岩谷も“アイコン”としてさらに大きな存在に。今年、マリーゴールドに移籍して、小川氏のリングで姉のように慕うイヨとの“再会”を果たす。
「あんなに顔面蹴り抜いてくる人いる?」とイヨが振り返ったハードヒットな打撃戦、スピーディーな展開と空中殺法など、まさに超一流の闘いはイヨの勝利に。
「麻優がいるから、私もここにいるんだよ」
勝ったことよりも再会への感慨を語ったイヨ。WWEでの過密スケジュールを縫って、岩谷と対戦するためだけに日本に戻ってきた。さらにこんな言葉も。
「女子プロレスの未来は明るい。全部の選手で盛り上げていきましょう。日本とか海外とか関係ないです」
エンディングで出場選手全員がリングに上がると、イヨ、岩谷、青野未来、ビクトリア弓月の4ショットも実現した。
この日、青野は林下詩美に勝ち団体最高峰のワールド王座を獲得。弓月は桜井麻衣を下してユナイテッド・ナショナル王者となった。
弓月は桜井と感情むき出しの闘いを見せた。いわば情念のぶつけ合いだ。それは桜井のフィールドに思えたが、弓月はそこに踏み込むことで王者になるための気概を示したのではないか。別の見方をすれば、アスリート的能力の高さが目立つ弓月の情念を桜井が引き出したとも言える激闘だった。
“真紅のベルト”をかけた青野vs林下は、弓月vs桜井の“純白のベルト”戦とは対照的なものになった。重厚なパワー対決はこの2人ならでは。とりわけラリアットの打ち合いは大会場の観客をもどよめかせる。
どちらもイヨvs岩谷と比べて遜色のない試合内容。歴史を感じさせる興行だからこそ、今と未来が重要だ。それをこの2試合は見せてくれた。
青野vs林下、弓月vs桜井だけでなく松井珠紗&CHIAKI組のタッグ王座獲得、“怪物”橋本千紘にポテンシャルを賞賛された山岡聖怜など、今回のビッグマッチでは今のマリーゴールドの充実ぶりが随所に感じられた。
イヨ・スカイが「未来は明るい」と言うだけの闘いが、確かにここにはあったのだ。
取材・文●橋本宗洋
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第1試合は田中きずなと心希の新鋭対決。この試合は2世レスラー対決でもある。きずなは田中稔と府川唯未の娘、心希は大向美智子を母に持つ。そして府川と大向は、全女を離れたロッシー小川氏が作った団体アルシオンでタッグを組んでいた。言うまでもなく、小川氏はスターダムの設立者でもあり、現在はマリーゴールドを率いている。
母親同士がセコンドについたきずなvs心希はきずな勝利。メガトンと対戦した“大物M”は鈴木みのるだった。意外すぎるサプライズだったが、実は鈴木はパンクラス旗揚げ前に全女の道場を借りて練習していた時期がある。小川氏とは長い付き合いというわけだ。
メインイベントは小川氏が「女子プロレスで今年一番のカード」と胸を張った、岩谷麻優vsイヨ・スカイ。7年半ぶりの一騎打ちだ。
2人はともにスターダムのトップ選手として活躍したが、イヨはアメリカ・WWEへ。今や世界的スター選手となった。スターダムに残った岩谷も“アイコン”としてさらに大きな存在に。今年、マリーゴールドに移籍して、小川氏のリングで姉のように慕うイヨとの“再会”を果たす。
「あんなに顔面蹴り抜いてくる人いる?」とイヨが振り返ったハードヒットな打撃戦、スピーディーな展開と空中殺法など、まさに超一流の闘いはイヨの勝利に。
「麻優がいるから、私もここにいるんだよ」
勝ったことよりも再会への感慨を語ったイヨ。WWEでの過密スケジュールを縫って、岩谷と対戦するためだけに日本に戻ってきた。さらにこんな言葉も。
「女子プロレスの未来は明るい。全部の選手で盛り上げていきましょう。日本とか海外とか関係ないです」
エンディングで出場選手全員がリングに上がると、イヨ、岩谷、青野未来、ビクトリア弓月の4ショットも実現した。
この日、青野は林下詩美に勝ち団体最高峰のワールド王座を獲得。弓月は桜井麻衣を下してユナイテッド・ナショナル王者となった。
弓月は桜井と感情むき出しの闘いを見せた。いわば情念のぶつけ合いだ。それは桜井のフィールドに思えたが、弓月はそこに踏み込むことで王者になるための気概を示したのではないか。別の見方をすれば、アスリート的能力の高さが目立つ弓月の情念を桜井が引き出したとも言える激闘だった。
“真紅のベルト”をかけた青野vs林下は、弓月vs桜井の“純白のベルト”戦とは対照的なものになった。重厚なパワー対決はこの2人ならでは。とりわけラリアットの打ち合いは大会場の観客をもどよめかせる。
どちらもイヨvs岩谷と比べて遜色のない試合内容。歴史を感じさせる興行だからこそ、今と未来が重要だ。それをこの2試合は見せてくれた。
青野vs林下、弓月vs桜井だけでなく松井珠紗&CHIAKI組のタッグ王座獲得、“怪物”橋本千紘にポテンシャルを賞賛された山岡聖怜など、今回のビッグマッチでは今のマリーゴールドの充実ぶりが随所に感じられた。
イヨ・スカイが「未来は明るい」と言うだけの闘いが、確かにここにはあったのだ。
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