プロボクシングの世界スーパーバンタム級４団体統一王者・井上尚弥が現地12月27日、サウジアラビア・リヤドでWBC同級２位アラン・ピカソ（メキシコ）との防衛戦に臨み判定勝ち。歴代単独トップの世界戦27連勝に伸ばし、自身の男子史上最多記録を更新する６度目の王座防衛に成功した。だが試合直後には「今日は良くなかった」と反省の弁を述べた。

　白星を挙げたモンスターに100パーセントの笑顔はなかった。元世界ヘビー級王者ジョー・ルイス、元５階級制覇王者フロイド・メイウェザー（ともに米国）を抜く、歴代単独１位の連勝記録を樹立した。判定は3-0。ジャッジ１人はフルマークの120-108、残り２人も119-109、117-111をつける完勝だった。

　ところが試合直後、井上は試合を独占生配信したNTTドコモの動画配信サービス『Lemino』内で受けたインタビューの中で「ベストコンディションで挑んだが、打ち急いでしまった。集中力に欠けた。今日は全体的に良くなかった」と反省の言葉で振り返った。
  　判定勝ちとはいえ、圧倒的な差がついた。それでも絶対王者は「試合内容はまったく納得していない。（内容は）余裕ではあったけど、打てなかった自分の弱みが出た」と分析。「もう少し“差”をみせたかった。倒し切りたかったし、期待に応えられず自分がやりたかったボクシングはできなかった」と語り、最後までピカソを攻略できなかった自分の甘さが許せなかった。

　ピカソ戦は12年ぶりとなる年間４試合目。「疲れました。正直」と率直な本音を漏らす。「今終わってみて肩の荷が下りた。年４試合やること自体はなんてことないけど、１年間でハードワークを試合ごとに４回こなすのは今年は頑張ったなと言いたい。正直やり切ったな...」と苦笑いしながら、やはり年４試合はコンディション調整の相当な負荷があったようだ。

　今後の課題を口にしつつ、リング上では日本中が期待する世界３階級制覇王者・中谷潤人との対戦について「期待してください」と力強く宣言していた。「今日はお互い勝つことができた。別の方向性になるのかは大橋秀行会長が今日の試合を終えて、どう交渉につとめるかですけど、日本が盛り上がるような試合を自分は実現していきたい」と、東京ドームでのビッグマッチ実現を示唆した。

　激動の2025年を無敗で締めくくった井上は、お正月の過ごし方について「もう気絶します。親戚一同、ゆっくり年末年始を過ごしたい」と周囲の笑いを誘った。

構成●THE DIGEST編集部

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