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格闘技・プロレス

「セコンドで意見は割れていた…」フューリー戦でタオルの投げ入れた舞台裏をワイルダーのトレーナーが激白

THE DIGEST編集部

2020.02.24

フューリー(右)に一方的に攻められ続け、ワイルダー(左)は為す術なく敗れ去った。 (C) Getty Images

フューリー(右)に一方的に攻められ続け、ワイルダー(左)は為す術なく敗れ去った。 (C) Getty Images

 2年ぶりのビッグリマッチは思わぬ形で決着した。

 現地時間2月22日、ボクシングのWBC世界ヘビー級タイトルマッチがアメリカのラスベガスにあるMGMグランドガーデン・アリーナで行なわれ、元3団体統一王者タイソン・フューリー(イギリス)が、王者のデオンテイ・ワイルダー(アメリカ)に7回1分39秒でのTKO勝ちを収めた。

 試合前に「今回こそアイツが起き上がれないよう叩きのめす」と自信を漲らせていた王者は、何もできぬまま、王座から陥落した。

 序盤から前掛かりに仕掛けたフューリーの圧力に対し、後手に回ったワイルダーは、3回に右のオーバーハンドを左側頭部に食らってダウンを奪われ、5回にボディーを受け、2度目のダウンを取られた頃には防戦一方となり、立ち続けるのがやっと。

 そして、勝負は、フューリーのラッシュを受け、ワイルダーがコーナーサイドに追い込まれた時に決した。自陣セコンドから棄権の意思を示すタオルが投げ込まれたのだ。

 まさかの形での終幕に動揺を隠せないワイルダーは、終了のゴングを訊くと同時に自陣サイドに「俺はまだできる」と言わんばかりの猛アピール。そこに普段の堂々たるチャンピオンの姿はなかった。

 一体なぜ、ワイルダー陣営は、タオルを投げ込んだのが。アメリカのボクシング専門サイト『Boxing Scene』の取材に応じたトレーナーのジェイ・ディース氏は、「私たちセコンドの中でも意見は割れていた」と、雌雄を決した決断の舞台裏を明かした。
 
「私はチームのヘッドコーチだ。しかし、アメリカンフットボールのチームと同様に必ずしもすべての決定を下すわけではない。攻撃には攻撃の、守りには守りのコーチがいる。タオルを投げ入れたのは、コーナーでの権限を持つリードコーチのマーク・ブリーランドだ。

 私はラウンド間に彼からタオルを入れるべきかどうかを聞かれ、『そんなことしないでくれ』と言ったが、戦いが長引き、デオンテイが耳の中から出血していたこともあって、タオルが投げ入れられていた」

 セコンドでの内幕を告白したディース氏は、「タオルの投げ入れについてマークとは、落ち着いてから話して、今は全てを把握している」と語ったうえで、さらにこう続けた。

「私は正直に言って、(タオルの投げ入れを)どこか納得できずにいる。デオンテイは知っての通り恐ろしいパンチャーであり、物事を一瞬で好転させられる能力を持っている。そのことを常に考慮すべきではあった。だからこそ、本当に難しい決断だったんだけどね」

 フューリーの猛攻に沈んだワイルダー。43戦負けなしを誇った無敵の“元”王者は、いかに敗戦から立ち直るのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部
 
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