ミラノ・コルティナ冬季オリンピックでは、多くの激闘の末に輝かしき勝者が誕生し、金メダルを手にした者は、それぞれの国に帰国すれば英雄として迎えられ、国や競技団体から報奨金を受け取るケースも少なくない。さらにスポンサー契約を結ぶ選手であれば、成績に応じたボーナスが支払われるケースもある。
このような形で、これまでの努力が経済面において報われることになるトップアスリートたちだが、ここで物議を醸しかねないのが、世界最大級のスポーツイベントである五輪において、開催者である国際オリンピック委員会(IOC)から選手に直接支払われる賞金は存在しないという事実だ。
イギリスの五輪専門メディア『inside the games』は、今大会について「五輪が抱える根本的な矛盾を改めて浮き彫りにした」と指摘。このスポーツの祭典が放映権やスポンサー収入によって巨額の利益を生み出す一方で、「メダルを懸けて戦う選手自身には、直接的な金銭的報酬が与えられない」という構造が続いているからである。
この議論が大きく注目されるようになったきっかけは2024年のパリ大会であり、陸上競技の国際連盟「ワールドアスレティックス」が、IOCの承認を得ないまま金メダリストへの賞金支給を決断した件に対し、IOCは「五輪の象徴性と平等性を損なう恐れがある」として強く反発し、執行委員会も同様の措置を非難していた。
一方、選手側からは不満の声が相次いでいると同メディアは報じ、記事の中でスウェーデンの女子バイアスロン選手、 エルビラ・オーベリが五輪を経済的な観点から厳しく批判し、「五輪に出場しても、スポンサーを見せることすら許されない。名誉はあるが、正直“損な状況”だ」と、スポンサー露出の制限と賞金の不在を問題視している。
IOCはこれに対し、五輪の収益は放映権やスポンサーを通じて国際競技連盟や各国オリンピック委員会、五輪連帯基金に再分配されており、「間接的な形で選手支援は行なわれている」と主張。実際、ミラノ・コルティナ大会では、IOCの奨学金制度を受けた249人の選手が出場し、計17個のメダルを獲得したという。
とはいえ現実には、選手の収入は各国の報奨金制度に大きく左右される。例えば日本では、金メダル獲得者に対しJOC(日本オリンピック委員会)から最大500万円の報奨金が支給されるが、一方で国家的な支援が乏しい国の選手にとって、五輪の成功が必ずしも経済的安定に繋がるとは限らない。
そうした格差を象徴する例として、同メディアはブラジル代表として金メダルを獲得したアルペンスキー選手、ルーカス・ピニェイロ・ブローテンのケースを紹介。ノルウェー連盟と決別し、完全な商業的自立モデルで臨んだ彼は、スポンサー資金を基盤に競技活動を行ない、南米初の冬季五輪金メダルという歴史的快挙を成し遂げている。
IOCの収益は2021~24年で約71億ユーロ(約1兆3100億円)に達したという。仮に金・銀・銅メダルに一定額の賞金を設定しても、全体から見れば限定的な負担に止まるとの試算もある。それでもIOCは、「五輪は金銭ではなく、名誉と共同体の象徴であるべきだ」という立場を崩していない。
そして同メディアは、「五輪は岐路に立たされている。ひとつは、伝統、象徴性、そして制度を通じた再分配を維持する道。もうひとつは、エリートアスリートが完全にプロ化されたスポーツ経済の中で活動し、直接的な報酬を受けるに値する形を認める道だ。アスリートへのプレッシャーが強まる中、今大会は根本的な問いを浮き彫りにした点でも記憶に残るかもしれない。数十億ユーロ規模のスポーツ界において、名誉だけで十分なのか、という問いだ」と綴って、記事を締めている。
構成●THE DIGEST編集部
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このような形で、これまでの努力が経済面において報われることになるトップアスリートたちだが、ここで物議を醸しかねないのが、世界最大級のスポーツイベントである五輪において、開催者である国際オリンピック委員会(IOC)から選手に直接支払われる賞金は存在しないという事実だ。
イギリスの五輪専門メディア『inside the games』は、今大会について「五輪が抱える根本的な矛盾を改めて浮き彫りにした」と指摘。このスポーツの祭典が放映権やスポンサー収入によって巨額の利益を生み出す一方で、「メダルを懸けて戦う選手自身には、直接的な金銭的報酬が与えられない」という構造が続いているからである。
この議論が大きく注目されるようになったきっかけは2024年のパリ大会であり、陸上競技の国際連盟「ワールドアスレティックス」が、IOCの承認を得ないまま金メダリストへの賞金支給を決断した件に対し、IOCは「五輪の象徴性と平等性を損なう恐れがある」として強く反発し、執行委員会も同様の措置を非難していた。
一方、選手側からは不満の声が相次いでいると同メディアは報じ、記事の中でスウェーデンの女子バイアスロン選手、 エルビラ・オーベリが五輪を経済的な観点から厳しく批判し、「五輪に出場しても、スポンサーを見せることすら許されない。名誉はあるが、正直“損な状況”だ」と、スポンサー露出の制限と賞金の不在を問題視している。
IOCはこれに対し、五輪の収益は放映権やスポンサーを通じて国際競技連盟や各国オリンピック委員会、五輪連帯基金に再分配されており、「間接的な形で選手支援は行なわれている」と主張。実際、ミラノ・コルティナ大会では、IOCの奨学金制度を受けた249人の選手が出場し、計17個のメダルを獲得したという。
とはいえ現実には、選手の収入は各国の報奨金制度に大きく左右される。例えば日本では、金メダル獲得者に対しJOC(日本オリンピック委員会)から最大500万円の報奨金が支給されるが、一方で国家的な支援が乏しい国の選手にとって、五輪の成功が必ずしも経済的安定に繋がるとは限らない。
そうした格差を象徴する例として、同メディアはブラジル代表として金メダルを獲得したアルペンスキー選手、ルーカス・ピニェイロ・ブローテンのケースを紹介。ノルウェー連盟と決別し、完全な商業的自立モデルで臨んだ彼は、スポンサー資金を基盤に競技活動を行ない、南米初の冬季五輪金メダルという歴史的快挙を成し遂げている。
IOCの収益は2021~24年で約71億ユーロ(約1兆3100億円)に達したという。仮に金・銀・銅メダルに一定額の賞金を設定しても、全体から見れば限定的な負担に止まるとの試算もある。それでもIOCは、「五輪は金銭ではなく、名誉と共同体の象徴であるべきだ」という立場を崩していない。
そして同メディアは、「五輪は岐路に立たされている。ひとつは、伝統、象徴性、そして制度を通じた再分配を維持する道。もうひとつは、エリートアスリートが完全にプロ化されたスポーツ経済の中で活動し、直接的な報酬を受けるに値する形を認める道だ。アスリートへのプレッシャーが強まる中、今大会は根本的な問いを浮き彫りにした点でも記憶に残るかもしれない。数十億ユーロ規模のスポーツ界において、名誉だけで十分なのか、という問いだ」と綴って、記事を締めている。
構成●THE DIGEST編集部
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