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格闘技・プロレス

団体の壁を壊し、クラッシュ・ギャルズを超える――Sareee&彩羽匠 “スパーク・ラッシュ”が切り開く女子プロレス新時代

橋本宗洋

2026.08.06

8.8後楽園大会では、シングルマッチに挑む彩羽匠(左)とSareee(右)。ともに敗れればタッグ解散と宣言した。写真:橋本宗洋

8.8後楽園大会では、シングルマッチに挑む彩羽匠(左)とSareee(右)。ともに敗れればタッグ解散と宣言した。写真:橋本宗洋

 突然のビッグカード決定だった。7月24日、後楽園ホールで開催されたジャガー横田50周年興行。女子プロレス界のトップ選手であるSareeeはアイスリボンの優華と対戦する予定だったが、優華が負傷欠場に。急きょ、大会当日に代替カードを決めることになった。

 Sareeeの頭に浮かんだのは、タッグチーム「スパーク・ラッシュ」を組む彩羽匠だった。ライバルでありタッグパートナー、彩羽が所属するマーベラスのビッグマッチではメインでベルトをかけて闘っている。そんな大事なカードだからこそ、ここでやろうと思った。気持ちは彩羽も同じだった。
 

「ジャガーさんの興行で、ゲストにクラッシュ・ギャルズ(長与千種&ライオネス飛鳥)も来ている。全日本女子プロレスのOGも、古くからのファンも見ている。そういう人たちに何か仕掛けて、驚かせたかった。今のプロレスを見せつけたいと」(彩羽)

 当日に組まれた試合だから、綿密な作戦など立てられない。それでも2人は見事に噛み合った、ノンストップの激しい攻防を展開してみせた(彩羽がサムソンクラッチで勝利)。タッグパートナー対決だが“負けたくない”という意地の張り合いも凄まじい。敗れたSareeeの憮然とした表情も印象的だった。

 試合後、2人はリングサイドで観戦していたクラッシュ・ギャルズの前へ。長与はマーベラスの創始者であり彩羽にとっては師匠。スパーク・ラッシュはクラッシュの後継者を自負してきた。

 ただ、試合後のやり取りをきっかけに現在は長与と彩羽、Sareeeは反目。「尊敬はもちろんしてます。でも尊敬しているだけでは超えられない」とSareeeは言う。Sareeeはクラッシュの2人の前で「絶対超えます」と宣言。さらに長与と飛鳥の間で観戦していたマーベラスの新鋭・暁千華も挑発している。彩羽曰く「ついていく人間を間違えている」。

 彩羽とSareeeからすれば、まだ新人の暁は試合のセコンドにつくべきではないか、となる。だが暁にとってはクラッシュとともに試合を見るというまたとない機会。ここでしか学べないこともある。

 一気に緊張感を増したスパーク・ラッシュとクラッシュ・ギャルズ、暁千華の関係。そこにマーベラスの主力のひとりである桃野美桜も参入して、8月8日の後楽園大会では桃野vsSareee、彩羽vs暁のシングルマッチが組まれた。様相としてはSareee、彩羽vsマーベラスだ。

「それも面白いんじゃないですか。旗揚げから10年、自分は“マーベラスのために”と思ってやってきた。でも自分がトップであることが面白くない選手もいるはず。それが言いにくいのが団体として弱みだったかもしれない」(彩羽)

 象徴としての長与、エースの彩羽のもとで団体一丸というイメージがマーベラスにはあった。そこに、あえて波風を立ててしまおうと彩羽は考えている。暁に対しては「簡単には超えさせませんよ。自分たちだって何回も潰されて強くなってきたので」。
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