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格闘技・プロレス

長与千種が「評価されないならプロレス界燃やしてしまえばいい」と激賞!後楽園を揺るがした彩羽匠と橋本千紘の名勝負【マーベラス】

どら増田

2022.01.11

橋本(左)のパワフルな猛攻を耐え抜いた彩羽(右)。怪我を乗り越えて見事に戴冠を果たした。写真:塚本凜平

橋本(左)のパワフルな猛攻を耐え抜いた彩羽(右)。怪我を乗り越えて見事に戴冠を果たした。写真:塚本凜平

 1月10日、“女子プロレス界のレジェンド”である長与千種が代表を務めるプロレス団体「マーベラス」が、後楽園ホールで『2022年Marvelous初め』を開催。メインイベントでは、AAAW全権争奪マッチとして、全権保持する「センダイガールズ(仙女)」の橋本千紘と、マーベラスのエースである彩羽匠がシングルマッチで対戦した。

 両者の対戦実現には紆余曲折があった。もともと昨年6月13日に行なわれたGAEAISM大田区大会で彩羽が怪我により欠場したため、GAEAISM事務局が「AAAWの全権はセンダイガールズに譲渡しており、本件に関して申し上げる筋ではない」としたうえで「Gの遺伝子を受け継ぐ者たちとして、最高峰の闘いを見せてくれることを期待している」と橋本との再戦を後押し。本来ならば、昨年の4月15日にGAEAISMの後楽園大会(コロナ禍の影響で今年の6.13大田区に延期)で実現するはずだった両団体のエースによる完全決着戦が、今回マーベラスのリングで、ふたたびAAAWの全権を懸けて行なわれたのである。

 昨年11月28日の仙女の宮城・仙台サンプラザホール大会で、橋本が保持しているセンダイガールズワールドシングル王座に彩羽が挑戦する形で顔を合わせているが、30分の激闘の末に切れ引き分けに終わっていた。

 まさに待望の一戦となった試合は、序盤から橋本が持ち前のパワーで攻勢を強める。中盤以降も鍛え抜かれたジャーマンを連発する強敵に対して、キックで応戦した彩羽はランニングスリー2連発を炸裂。これで一気に流れを引き寄せると、最後は新技のランニング・パイレーツをエグい角度で決めてカウント3を奪った。

 全権をマーベラスにもたらすとともに、第15代AAAWシングル王者に輝いた彩羽。かつて長与がGAEA JAPAN時代に2回(バッドナース中村戦と石井里奈戦)しか使っていない必技ランニング・パイレーツを見せつけた新チャンピオンは、バックステージで「こうやって形のあるものを受け継ぎました。時代を見せていきます。ベルトを獲ったら嬉しいのかなって想像してたけど、震えが止まらないです。もっと嬉しくて、嬉し涙が出るのかなと思ったら一気に怖い。自分が今まで巻いた中で一番重いです」と、女子プロレス界で受け継がれてきたベルトの重みを口にした。
 
 戦前に「男女を超えたベストバウトを期待したい」としていた師匠の長与も「時代を揺るがしていけばいい。プロレス界の王道の試合ですね。これが評価されなかったらプロレス界燃やしてしまえばいいと思う」と語り、弟子の彩羽と孫弟子の橋本による激戦を称賛。また、試合時間(60分1本勝負から30分1本勝負へ変更)や橋本を第14代AAAWシングル王者に認定したのは、直前まで両団体が話し合って決まったと経緯を説明した。

 今後の防衛ロードについて彩羽は「負けている選手がいる」として、タイガー・クイーンを匂わせつつ、同ベルトを巻いていた永島千佳世や他団体のトップ選手相手にした防衛戦の実現も示唆。いずれにしても、ベルトの価値を上げていきたい考えに変わりはない。

 一方で敗れた橋本も「センダイワールドのベルトを一番にする」としており、後楽園を揺るがせた名勝負がふたたび見られる可能性もありそうだ。

◆マーベラス◆
『2022年Marvelous初め』
2022年1月10日
東京・後楽園ホール
▼AAAW全権争奪マッチ&AAAWシングル選手権試合(30分1本勝負)
<全権保持団体 仙女代表 第14代AAAWシングル王者>●橋本千紘(25分10秒 体固め)彩羽匠○<挑戦団体 マーベラス代表 挑戦者>
※ランニング・パイレーツ
※第14代王者が初防衛に失敗。彩羽が第15代王者となり、マーベラスがAAAW全権を奪還。

取材・文●どら増田

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