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ラグビー

完敗した南アフリカ戦の「想定内」と「想定外」。悲願のW杯8強に向け、主将リーチは「何をやるべきかが分かった」

吉田治良

2019.09.07

主将のリーチは、「修正のための時間はまだ十分にある」と前向きに語った。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

主将のリーチは、「修正のための時間はまだ十分にある」と前向きに語った。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

 このテストマッチをオファーしたのは、世界ランキング5位の格上、南アフリカのほうだったそうだ。

 彼らを突き動かしたのは、ラグビーを国技とする伝統国のプライドだろう。

 南アフリカがこれまでの対戦成績で負け越している国は、現世界王者のニュージーランド(36勝4分け58敗)、そして日本のわずか2か国だけだった。

 だから、4年前のラグビーワールドカップ(RWC)で、初めて顔を合わせた日本に歴史的な敗北を喫した彼らは、今回のRWC日本大会を前に、どうしても対戦成績を1勝1敗の五分にしておきたかったのだという。

 絶対に勝たなくてはならない──。

 その想いの強さで、あるいは南アフリカが日本を上回っていたのかもしれない。ティア1(ラグビーにおける最上位の階級)の強豪国がベストメンバーで、一分の隙も見せずに本気で向かってきたら、そう簡単に番狂わせなど起こせるはずもないだろう。しかも彼らは、この夏のザ・ラグビーチャンピオンシップ(南半球4か国対抗戦)で、ニュージーランドと引き分けたうえで初優勝を飾り、勢いに乗っていた。
 9月6日、熊谷ラグビー場で行なわれた日本対南アフリカの一戦は、「4年前のリベンジ」に燃える“スプリングボックス”の勝利に終わった。それは、「4年前の再現」を期待して集まった2万人を超えるホームチームのファンに、冷や水を浴びせるような快勝だった。

 開始早々の4分、日本はトライゲッターのWTB(ウイングスリークオーターバック)福岡堅樹がふくらはぎを痛め、いきなり交代を余儀なくされる。確かに不運なアクシデントではあったし、もしこの韋駄天がピッチに立ち続けていたら、多少は展開も変わっていたかもしれない。

 ただ、それ以上に際立ったのは、南アフリカの出足の鋭さと、自慢のフィジカルで押す、縦への圧力だった。

 7分には日本陣内でのスクラムから、鋭いカットインプレーを2つ挟んだ後、右へ大きく展開し、最後はWTBチェスリン・コルビがインゴールに飛び込んで南アフリカが先制する。

 もっとも、日本にしても相手がフィジカルで押し込んでくることは想定内だっただろう。しかし、それだけならまだ対等に渡り合えたかもしれないが、「想定外」だったのは、南アフリカがキックを多用してきたことである。

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