F1、MotoGPという４輪、２輪のトップカテゴリーのレースが開催されたこの週末、ペトロナス・グリーンに彩られたマシンが、サーキットを席巻した。
まず、F１第３戦ハンガリーGPでは、歴代最多記録を更新する90回目のポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトン（メルセデスAMG・ペトロナス・F1）が、終始危なげない走りで今季2勝目、“皇帝”ミハエル・シューマッハの91勝にあと5勝と迫る通算86勝目を挙げ、3位にもチームメイトのバルテリ・ボッタスが入った。ハミルトンはレース最終盤にボーナスポイントを獲得できるファステストラップを狙い、ラスト3周でピットストップする余裕すら見せた。
2位にはレース直前のレコノサンスラップでクラッシュし、チームによる時間ぎりぎりの修復作業でなんとかスタートしたマックス・フェルスタッペンが割って入った。
一方、MotoGPクラス今季初戦となるスペインGPでも“神の子”ファビオ・クアルタラロ（ペトロナス・ヤマハ・SRT）が、通算７回目のポールポジションからスタートして優勝。スタートでトップに躍り出たマーベリック・ビニャーレス（モンスターエナジー・ヤマハ・MotoGP）は、自身のミスもあり、後退して２位。表彰台最後の１つは、２週間前にトレーニングの一環として出場したモトクロスレースで鎖骨を骨折した34歳のベテラン、アンドレア・ドヴィツィオーゾが勝ち取った。５年連続でのタイトル獲得を目指すマルク・マルケス（レプソル・ホンダ・チーム）は、トップ周回中にコースアウト後、再び３位まで順位を上げる猛烈な追い上げを見せたが、ハイサイドを喫し、右上腕骨を折る重傷を負った。同じくペトロナス・ヤマハ・SRTのフランコ・モルデビリも５位入賞と健闘した。
レース後、ハミルトンがチームの公式SNSを通じて「ファビオ、フランコ、そしてペトロナス・モータースポーツファミリーの皆さん、MotoGPクラス初優勝おめでとう！ 僕は君をとても誇りに思うよ!!」 と祝福すると、ペトロナス・ヤマハ・SRTでも「愛を感じて!!」と反応。「なんて日だ！ ファビオとルイスにお祝いのメッセージを贈ります。１つの週末で２勝、２ポールポジション＆２ラップレコード。仲間であるメルセデスのドライバー、バルテリ・ボッタスが３位、フランコが自己最高位に並ぶ５位。ペトロナス・モータースポーツファミリーは大きな成果を上げました!!」とも投稿した。
マレーシア国営の石油及び天然ガス企業であるペトロナスによるモータースポーツ活動は決して短くはなく、F１では1996年からザウバーのスポンサーとなり、2010年シーズンからはメルセデスのタイトルスポンサーを務めている。F１マレーシアGPのタイトルスポンサーでもある。
２輪の世界選手権でも“キング・ケニー”こと伝説的なチャンピオン、ケニー・ロバーツ率いるチームKRを、株主である同じくマレーシアの自動車メーカー、プロトンを通じてサポートしたり、4度WSBK（スーパーバイク世界選手権）王者を戴冠したカール・フォガティと一緒に「フォギー・ペトロナス・チーム」を立ち上げ、WSBKに参戦するなどしてきた。
現在は2019年から参戦を開始したMotoGPクラスだけでなく、以前よりサポートするMoto２、Moto３チームに加え、2020年からの３年間、Moto２、Moto３クラスの燃料サプライヤーとなることも決まっている。
ここ数年、F１で圧倒的な力を発揮してきたメルセデスAMG・ペトロナス・F１だが、ハミルトンが「これまで乗ってきたマシンの中で最高の１台」とW11を評するように、今シーズンはさらに強さを増している。マルケスの怪我による欠場が予想され、MotoGPでも初優勝で殻を破ったクアルタラロが持ち前のスピードを発揮し、このまま突っ走る可能性も十分だろう。今後もペトロナス・モータースポーツファミリーに支配される週末が続きそうな予感だ。
文●甘利隆
著者プロフィール／東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter：ama_super
【PHOTO】世界最高峰のカーレース、F1でしのぎを削るトップドライバーたち
まず、F１第３戦ハンガリーGPでは、歴代最多記録を更新する90回目のポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトン（メルセデスAMG・ペトロナス・F1）が、終始危なげない走りで今季2勝目、“皇帝”ミハエル・シューマッハの91勝にあと5勝と迫る通算86勝目を挙げ、3位にもチームメイトのバルテリ・ボッタスが入った。ハミルトンはレース最終盤にボーナスポイントを獲得できるファステストラップを狙い、ラスト3周でピットストップする余裕すら見せた。
2位にはレース直前のレコノサンスラップでクラッシュし、チームによる時間ぎりぎりの修復作業でなんとかスタートしたマックス・フェルスタッペンが割って入った。
一方、MotoGPクラス今季初戦となるスペインGPでも“神の子”ファビオ・クアルタラロ（ペトロナス・ヤマハ・SRT）が、通算７回目のポールポジションからスタートして優勝。スタートでトップに躍り出たマーベリック・ビニャーレス（モンスターエナジー・ヤマハ・MotoGP）は、自身のミスもあり、後退して２位。表彰台最後の１つは、２週間前にトレーニングの一環として出場したモトクロスレースで鎖骨を骨折した34歳のベテラン、アンドレア・ドヴィツィオーゾが勝ち取った。５年連続でのタイトル獲得を目指すマルク・マルケス（レプソル・ホンダ・チーム）は、トップ周回中にコースアウト後、再び３位まで順位を上げる猛烈な追い上げを見せたが、ハイサイドを喫し、右上腕骨を折る重傷を負った。同じくペトロナス・ヤマハ・SRTのフランコ・モルデビリも５位入賞と健闘した。
レース後、ハミルトンがチームの公式SNSを通じて「ファビオ、フランコ、そしてペトロナス・モータースポーツファミリーの皆さん、MotoGPクラス初優勝おめでとう！ 僕は君をとても誇りに思うよ!!」 と祝福すると、ペトロナス・ヤマハ・SRTでも「愛を感じて!!」と反応。「なんて日だ！ ファビオとルイスにお祝いのメッセージを贈ります。１つの週末で２勝、２ポールポジション＆２ラップレコード。仲間であるメルセデスのドライバー、バルテリ・ボッタスが３位、フランコが自己最高位に並ぶ５位。ペトロナス・モータースポーツファミリーは大きな成果を上げました!!」とも投稿した。
マレーシア国営の石油及び天然ガス企業であるペトロナスによるモータースポーツ活動は決して短くはなく、F１では1996年からザウバーのスポンサーとなり、2010年シーズンからはメルセデスのタイトルスポンサーを務めている。F１マレーシアGPのタイトルスポンサーでもある。
２輪の世界選手権でも“キング・ケニー”こと伝説的なチャンピオン、ケニー・ロバーツ率いるチームKRを、株主である同じくマレーシアの自動車メーカー、プロトンを通じてサポートしたり、4度WSBK（スーパーバイク世界選手権）王者を戴冠したカール・フォガティと一緒に「フォギー・ペトロナス・チーム」を立ち上げ、WSBKに参戦するなどしてきた。
現在は2019年から参戦を開始したMotoGPクラスだけでなく、以前よりサポートするMoto２、Moto３チームに加え、2020年からの３年間、Moto２、Moto３クラスの燃料サプライヤーとなることも決まっている。
ここ数年、F１で圧倒的な力を発揮してきたメルセデスAMG・ペトロナス・F１だが、ハミルトンが「これまで乗ってきたマシンの中で最高の１台」とW11を評するように、今シーズンはさらに強さを増している。マルケスの怪我による欠場が予想され、MotoGPでも初優勝で殻を破ったクアルタラロが持ち前のスピードを発揮し、このまま突っ走る可能性も十分だろう。今後もペトロナス・モータースポーツファミリーに支配される週末が続きそうな予感だ。
文●甘利隆
著者プロフィール／東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter：ama_super
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