ゴルフ

「自分のレベルじゃ本当に無理だなと」打ちのめされた渋野日向子が本音。約2か月の海外ツアーで得た課題と収穫は?

山西英希

2020.10.11

(C)Getty Images

 今季メジャー第3戦、LPGAツアー『KPMG全米女子プロゴルフ選手権』3日目、スタートホールとなった10番パー4で8を叩いた渋野日向子は、その後もスコアを伸ばせず、76でホールアウト。通算11オーバーの73位タイにまで順位を落とした。

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 今大会を開催するアロニミンクGCは名匠ドナルド・ロスの設計である。そのロスが設計したパインハーストリゾート・コースNO.2で初めて男子の全米オープンが開催されたのは99年だった。難易度の高いコースセッティングだったが、特に選手を悩ませたのはグリーン周りだった。短くカットされた芝のため、少しでも砲台グリーンをこぼれると一気に傾斜を下ってラフまで落ちてくる。しかも、グリーンには大きなアンジュレーションがあり、ピン位置によっては何度も同じところからアプローチをするはめになる。メジャー2勝のジョン・デーリーが思わずグリーンから戻ってくる途中のボールを打ち、ペナルティを受けたほどだ。
 
 さすがに今回のセッティングはそこまで厳しくはないが、10番での渋野のプレーを見たとき、思わずパインハーストの全米オープンを思い出した。ボタンを一つ掛け違えただけで奈落の底まで落とされる、そんな怖さを改めて思い知らされたのだ。渋野もティショットを大きく左に曲げたわけではない。フェアウェイを捉えた後、傾斜の影響で左ラフまで転がってしまっただけだ。そのためライはそれほど悪くなく、池越えになるがピンを狙う選択をした。

「グリーンエッジまでは130ヤードだったので、7番アイアンで打てば普通に池は越えるはずでした」と渋野。ところが、ボールの手前をほんの少しダフり、当たりが弱かった分グリーンに届かず池につかまった。池の手前から打った第4打をピン手前2メートルに落としたものの、バックスピンと下り傾斜が重なり、ピンまで25メートル近く残すことになる。それを打ち切れず大きくショートすると、やはり下り傾斜に戻されて16メートルのパットを残す。そこからさらに3回のパッティングを行い、ようやくホールアウトした。タラレバは禁物だが、第2打のダフリというミスさえなければ、このような結果にはなっていなかっただろう。