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アイドルホース、ソダシは白毛馬として史上初のGⅠ制覇達成なるか?その真価を探る

THE DIGEST編集部

2020.12.11

ソダシは、ジュベナイルフィリーズで初のG1制覇なるか?写真:産経新聞社

 13日(日)、2歳女王決定戦の阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)が、阪神競馬場の芝1600mを舞台に行なわれる。来年の桜花賞を目指して多士済々の素質馬がエントリーするなか、どの馬が戴冠を果たすのか。2回に分けて有力馬の顔ぶれを見ていきたい。

 今年の出走予定馬には、ソダシ(牝2歳/栗東・須貝尚介厩舎)、メイケイエール(牝2歳/栗東・武英智厩舎)と、3戦3勝、無敗の重賞ウイナーが2頭いる。そのうち特に大きな注目を集めるのは「白毛」のソダシのほうだろう。

 サラブレッドの毛色について触れておくと、ぜんぶで8種類ある毛色のなかで「白毛」が占める割合は0.04%ほどと言われ、極めて珍しい存在。グレーがかった色で生まれて、年齢を重ねるごとに白くなっていく「芦毛」とは別で、生まれたときから全身が白い毛に覆われており、違う毛色の親馬から突然変異的に生まれることがある(理由は未解明の部分が大きい)。

 ソダシの血統を見ると、青鹿毛の父(サンデーサイレンス)、鹿毛の母(ウェイブウインド)のあいだに突然変異で生まれた白毛の牝馬、シラユキヒメに辿り着く。シラユキヒメ自身は未勝利のまま現役を終えたが、貴重な白毛馬の血を残すため、オーナーの金子真人氏が繁殖牝馬として所有を続け、これまで12頭の仔を産み、そのうち10頭が白毛として生まれている。そのうちの1頭、ブチコ(白毛に鹿毛の斑点が混じってブチ模様だったため、そう命名された)が産んだのが、ことしの阪神ジュベナイルフィリーズに出走するソダシである。
 
 シラユキヒメに端を発する"白毛一族"には、交流重賞3勝を挙げたユキチャン、レパードステークスを勝ったハヤヤッコがいるが、ダートでの活躍が目立った。そうしたなか、デビューから芝のレースを走り、白毛馬としてJRA史上初めて芝の重賞を勝ったのがソダシだ。

 ソダシは7月の函館、芝1800mの新馬戦でデビュー。2番手から楽々と抜け出して、2着に2馬身半の差をつけて勝利を収める。続いて出走した札幌2歳ステークス(芝1800m)では4コーナーで先頭に立つと、ユーバーレーベンの急追をクビ差で抑えて、白毛馬として史上初めての芝の重賞制覇を達成。1分48秒2は2歳のコースレコードだった。そして10月のアルテミスステークス(東京・芝1600m)でも、2番手から力強い末脚を繰り出して先頭に躍り出ると、追い込んだ2着のククナを1馬身3/4差で降して3連勝を果たしている。

 通常の2歳馬であれば、この時期はまだ不安定さを感じさせるレースをするものだが、その点でソダシの完成度の高さは特筆ものだ。ゲートをスッと出て好位置を確保し、終盤も確実に伸びてくるレースセンスは大人びてさえいる。

 あえてマイナスポイントを挙げるならば、"白毛一族"の他の活躍馬がダートに偏っていることだろうか。レースが時計勝負、ラストの瞬発力勝負になった場合、本質的にパワータイプであるこの血統の特徴が顔をのぞかせることはないのか、という不安は若干ながら残っている。

 白毛馬として史上初のGⅠ制覇は達成されるのか。早くもアイドルホース的な人気を博しているソダシの走りに注目したい。

※阪神ジュベナイルフィリーズに出走する他の有力馬については、明日ご紹介します

文●三好達彦