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ゴルフ

受難の2020年シーズンで渋野日向子が気付いた「今の自分」に足りないモノ。中途半端な自信が吹き飛んだ後に残ったのは…

山西英希

2020.12.29

本格参戦したLPGAツアーでは大きな不調に陥るなど、受難のシーズンを過ごした渋野。(C)Getty Images

本格参戦したLPGAツアーでは大きな不調に陥るなど、受難のシーズンを過ごした渋野。(C)Getty Images

 ある意味、2020年に渋野日向子が得たモノは、2019年に得たモノよりもはるかに大きいのではないか。確かに19年は海外メジャーである『AIG全英女子オープン』を制し、国内ツアーでも4勝を挙げて賞金ランキング2位となった。対する20年は『全米女子オープン』で4位に入ったものの、国内外含めて13試合に出場して未勝利に終わった。国内ツアーの賞金ランキングは35位だ。数字だけ比べれば明らかに19年のほうが得るものが大きかったように見える。しかし、そんな数字が些細なことにしか感じないほど20年は大きな経験をすることができた。

【PHOTO】“シブコスマイル”でギャラリーを魅了!渋野日向子の2020年を厳選ショットで振り返り!

 19年のシーズンを終えると、渋野は次なるステージを目指し、スイング改造と肉体改造に取り組んだ。弱点と言われたアプローチも徹底的に練習し、ほぼ万全な状態で20年のシーズンを迎えたはずだった。ところが、国内ツアー開幕戦である『アースモンダミンカップ』で予選落ちを喫すると、『ASIスコットランド女子オープン』では132位タイ、ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ『AIG女子オープン』では105位タイに沈んだ。新型コロナの影響で実戦経験が乏しかったとはいえ、渋野自身、まさかここまで結果を出せないとは想像していなかったのではないか。ただ、この時点ではリンクスへの対応などの経験不足やゴルフ勘が戻らないことも不調の原因と思われていた。
 
 その後、米国に渡ってスイングを再調整し、トレーニングにも励んで、メジャー2試合を含む米ツアー4試合に出場した渋野。全試合で予選通過したものの、最高位が24位タイと奮わなかった。4戦目の『KPMG全米女子プロ』を58位タイで終えたとき、「今の自分の技術でメジャーチャンピオンと名乗るのはものすごく恥ずかしい。私より技術のレベルが高い人は何百人、何千人もいると思います」と、完全に自信を失っていた。しかし、その裏で渋野なりに今の自分には何が足りないのかを着実にリサーチしていたのだ。

『ANAインスピレーション』の最終日を終えたときは、「一つのミスを引きずってしまうことが多く、気持ちを切り替えようと思ってもなかなかできないところは反省点です」と語り、『KPMG全米女子プロ』の3日目には、「ここにくるまでは飛距離が必要だとすごい思っていましたが、飛距離以外のことで何打も縮められるとすごい実感しました」と語っていた。もちろん、難しいピン位置に対応するショット力や様々なグリーン周りの状況に適応できるアプローチのバリエーションを増やすことは当然として、そのうえでゴルフに対する考え方を変える必要があると身を持って感じることができた。
 

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