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【京成杯・日経新春杯レビュー】グラティアスは将来性に期待。 人気馬2頭の大敗に騎手も「何でここまで負けるのか…」

三好達彦

2021.01.18

グラティアスが2馬身半の差を付け、デビューから2連勝で重賞勝ちを飾った。写真:産経新聞社

グラティアスが2馬身半の差を付け、デビューから2連勝で重賞勝ちを飾った。写真:産経新聞社

 クラシックへのプレップレースとして重要な位置を占める京成杯(GⅢ、中山・芝2000m)は単勝1番人気のグラティアス(牡3歳/美浦・加藤征弘厩舎)が圧勝した。

 ゲートが開くと先行馬がお互いの出方を探り合うなか、ミルコ・デムーロ騎乗のタイムトゥヘヴン(牡3歳/美浦・戸田博文厩舎)が思い切って先頭を奪いにいく。強引に競りかける馬がいないこともあり、デムーロ騎手が手綱を抑えると、1000mの通過ラップは63秒7という、異常なまでのスローペースに。いわゆる「前残りの競馬」となり、タイムトゥヘヴンが直線へ入っても粘りを見せるが、その直後を進んだグラティアスが差し切って突き放し、2馬身半の差を付けてデビューから2連勝で重賞勝ちを飾った。

 走破タイムは2分03秒2、上がり3ハロンは34秒9と、全体にタフな馬場状態が続いていることを考慮しても、時計はいたって平凡なものだったが、クリストフ・ルメール騎手は「馬の後ろで我慢して、リラックスして走れていた。GⅠに行く馬だと思います」と、初戦からの進歩と、ポテンシャルの高さを称賛するコメントを残した。

 このレースのレビューで紹介したプラチナトレジャー(牡3歳/美浦・国枝栄厩舎)やヴァイスメテオール(牡3歳/美浦・木村哲也厩舎)はそれぞれ5着、4着に敗退。戦線から一歩後退した印象で、今年の京成杯で強調できるのは、GⅠ馬レシステンシアの半弟で、父が距離延長に不安のないハーツクライにかわったという血統背景も込みで、1頭だけレベルが違う競馬を見せたグラティアスだけと言えるだろう。
 
 一方、大阪杯(GⅠ)をにらむ古馬たちの争いとなった日経新春杯(GⅡ、中京・芝2200m)は、ハンデ戦らしいアップセットが起こった。優勝は格下(3勝クラス)ながら果敢に挑戦してきたハンデ53㎏で7番人気のショウリュウイクゾ(牡5歳/栗東・佐々木晶三厩舎)で、2着がハンデ52㎏で13番人気のミスマンマミーア(牝6歳/栗東・寺島良厩舎)。3着には4番人気のクラージュゲリエ(牡5歳/栗東・池江泰寿厩舎)が入り、3連単は9617.9倍という大波乱となった。

 ハンデ戦だけに斤量の軽い馬が浮上することも珍しくないが、どうにも腑に落ちないのが上位人気馬の大敗であろう。

 1番人気に推されたアドマイヤビルゴ(牡4歳/栗東・友道康夫厩舎)は3~4番手の好位置を進みながら、直線では脚がぱったり止まって10着。武豊騎手は「馬の雰囲気もポジションも良かったんですが…。きょうの一戦だけでは何とも言えません」とコメント。また、2番人気のヴェロックス(牡5歳/栗東・中内田充正厩舎)も先団でレースを進めたが、末脚の伸びがまったく見られずに9着と大敗。川田将雅騎手も「道中はリズムよく競馬をしていたのに、何でここまで負けるのか…」と、首をひねっていたという。

 それも競馬、という言い方もあるだろうが、この2頭はそれ相応の高い評価を受けていたわけで、あまりにも大きく負け過ぎという印象が強い。関係者はもちろん、両馬に票を投じたファンにもモヤモヤが残る一戦であり、大阪杯への視界も不良と言わざるを得ない。

文●三好達彦

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