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囁かれた限界説にコロナの追い打ち…ベテラン石川佳純が見せつけた“強さの証明”「今は気にならなくなった」

佐藤俊

2021.01.30

5年ぶり5度目の全日本女王に輝いた石川。若手の台頭に苦しみながらも、復活を遂げた彼女の勝因とは?(C)Getty Images

5年ぶり5度目の全日本女王に輝いた石川。若手の台頭に苦しみながらも、復活を遂げた彼女の勝因とは?(C)Getty Images

 全日本卓球選手権の女子シングルス決勝、石川佳純は4-3のフルゲームの末に伊藤美誠を倒し、5年ぶり5度目の優勝を決めた。

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 その瞬間、石川の表情が歓喜に弾けた。優勝インタビューでは感極まって、言葉が出てこない。「すいません」と頭を下げ、呼吸を整えて、「うれしいです。いろんな人に感謝したいです」と、頑張って笑顔を見せた。いろんなものが詰まった優勝だった。

 この大会、石川は勝って、強い自分を証明しなければならなかった。2019年12月、グランドファイナル1回戦で劉詩文に負けたもののポイント差で平野美宇を抑えて、東京五輪女子シングルス代表の椅子を獲得した。しかし、それ以降、石川の耳には、東京五輪出場の祝福の声と同時に、心無い声も入るようになった。若い選手の方が中国に勝てる。石川の卓球では勝てない。時代遅れなどと言われた。伊藤を始め、平野、昨年の全日本で優勝した早田ひな、木原美悠、長崎美柚ら若い選手の台頭に自分の居場所を失っていく感覚にとらわれた。

 日本の女子の卓球シーンは、年齢でいえば伊藤や平野など20歳以下が中心になっており、下からどんどん若い選手が出てきている。戦い方も卓球台の前線に立つ高速卓球が世界の主流になっていた。実際、伊藤を始め、若い選手はそういった前陣速攻スタイルで、石川のように中陣で戦うスタイルは、世界の卓球に対応するのが難しいと言われた。事実、5年間、石川は全日本で勝てていなかったのだ。
 
 さらにコロナが追い打ちをかけた。コロナ禍の影響で東京五輪が延期され、先行きが見えない中、石川は卓球でも精神的にも追い込まれていった。そんな時、石川を救ったのが彼女のスタッフや家族だった。

「自分自身、気持ち的に『あぁもうダメなのかな』と自分のプレースタイルだったり年齢だったり、マイナスに考えることがあって、直接周りの人に言われたりすることもあり落ち込むこともあったんですけど、その度にコーチの邱(建新)さん、軽部(隆介)くん、トレーナーの先生、家族が『もっとやれるよ、自分の可能性を信じて』って言ってくれました」

 石川は、支えてくれる人たちのためにもという気持ちで奮い立った。「誰かのために」という気持ちで戦うようになると人はさらに強くなる。石川は、支えてくれる人のために、従来と異なる練習に意欲的に取り組んだ。得意の中陣だけではなく、前陣で戦うことにトライするために、左右に素早く動くための脚の運びを練習をした。若手、とりわけ伊藤は左右のフットワークが軽快かつ抜群に速く、それが前陣で素早く動き、力強いショットを打つことを可能にしているからだ。
 

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