格闘技・プロレス

「黒人だといじめられ…」UFC王者アデサニャの壮絶な少年時代を英メディアが回想「熱心だったのは日本のアニメだけ」

THE DIGEST編集部

2021.03.08

ブラホビッチには勝てなかったアデサニャ。だが、彼のチャレンジを批判する人々はいない。 (C) Getty Images

 UFC史上5人目の二冠王者とはなれなかったが、変幻自在のスターに対する評価に変わりはない。

 現地時間3月6日にアメリカ最大の総合格闘技団体『UFC』は、ラスベガスで「UFC259」を開催。タイトルマッチが3試合も組まれたメインカードの大トリを飾ったライトヘビー級タイトルマッチでは、王者のヤン・ブラホビッチ(ポーランド)と、階級を上げて挑んだミドル級王者のイスラエル・アデサニャ(ナイジェリア)が対戦。3ラウンド判定の末、現王者が防衛に成功した。

 緊張感ある攻防戦を繰り広げ、フルラウンドにもつれ込んだが、終盤に入ってからパワーで相手を凌駕したブラホビッチが107回もの有効打を繰り出し、アデサニャを圧倒。ジャッジも3人全員が王者の勝利を支持した。

 20戦無敗を誇っていたキャリアで初黒星を喫し、史上5人目となるUFC二階級制覇に失敗したアデサニャは、試合後のフラッシュインタビューで「今日は自分の日ではなかった」と率直な感想を口にした。

「昨日の夜はほとんど眠れずに、自分が思っていたような試合はできなかった。足が疲れて、後半に疲労感が出てきてしまった。正直、ここまでの差がつくとは思っていなかった。ミドル級に戻るかもしれないし、どうなるかは分からない」

 さらに「今回の俺の挑戦は批判されるかもしれない」と漏らした31歳だが、その評価が揺らぐことはない。英スポーツ専門ラジオ局『talkSPORT』は、試合後に「彼はコナー・マクレガーに匹敵するUFCのスターだ」という特集記事を掲載。そのなかで、アデサニャが少年時代にいじめに遭っていたことを伝えた。

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「ナイジェリアの首都ラゴスの裕福な家庭に生まれたアデサニャは、教育熱心だった両親の方針もあり、11歳の時にニュージーランドに引っ越した。しかし、そこでの生活は簡単ではなかった。黒人だからと学校でいじめられ、自身が『おかしい子どもだと感じた』こともあったという。高校時代もスポーツに全く興味を抱かず、彼が熱心だったのは日本のアニメだけだった」

 元々8歳でテコンドーをやっていた経験を持つアデサニャはいじめっ子たちを見返すために、18歳からムエタイに挑戦し、本格的に格闘家になることを決意。そこからキックボクシングやボクシングなどで頭角を現し、スターダムを駆け上がっていった。

 そんな格闘界のニュースターを『talkSPORT』は、こう讃えている。

「彼は非常に才能豊かなアスリートであり、MMAじゃなくても最高の人生を送ることができたはずだ。いじめという経験から道を誤り、その個性は切り裂かれたが、ゆっくりと、しかし確実に、世界最高のファイターへの道を歩み続けている」

 いじめという辛い経験を乗り越え、世界が認める戦士となったアデサニャ。その一挙手一投足から今後も目が離せない。

構成●THE DIGEST編集部
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