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マラソン・駅伝

「箱根」でも新風は吹くのか⁉「BIG3」の牙城が崩れた出雲駅伝から占う大学駅伝の勢力図

佐藤俊

2019.10.16

今年の出雲駅伝は、國學院大の土方が1位でテープを切った。写真:朝日新聞社

今年の出雲駅伝は、國學院大の土方が1位でテープを切った。写真:朝日新聞社

 出駅駅伝は、「学生3大駅伝」の初戦であるのと同時に、全日本大学駅伝、箱根駅伝に向けての前哨戦ともなるレースである。

 ただし、全6区間が45.1キロと短いために、1区間が20キロ前後の箱根駅伝とは若干メンバーが異なるが、それでも各大学の走りで箱根が見えてくる部分はある。

 大方の予想は、東海大、青山学院大、東洋大の「BIG3」に國學院大、駒澤大、帝京大あたりが絡んでくるだろうというものだった。

 果たして、レースは出雲に新風が吹いた。
 連覇を目指した青山学院大が5位、箱根制覇を果たした東海大が4位、東洋大が3位と「BIG3」の牙城を國學院大、そして駒澤大が崩したのである。

 箱根駅伝に向けて楽しみが増えたのが、優勝した國學院大だ。

 1区の藤木宏太が5位と好走し、2区の中西大翔(1年)がつなぎ、3区の浦野雄平を経て、6区までトップ争いを演じた。アンカーの土方英和(4年)は圧巻の走りだった。東海大の西田仁志(3年)、東洋大の定方駿(4年)を置き去り、残り670mで駒澤大の中村大聖(4年)をスパートで抜き去って、チームに初優勝をもたらした。
 
 箱根駅伝は昨年、往路5位、総合7位と健闘した。だが、今年は浦野、土方のダブルエースが健在なのはもちろん、中間層の選手が成長して、全体的な層が厚くなっている。そうした中での初優勝は、選手個人はもちろん、チームにとっても大きな自信になっただろう。

 ただ、前田康弘監督は初優勝に浸ってはいない。

 レースでの優勝を遂げた後、表彰式もほどほどに選手たちを会場に置いて、5000mの記録会が始まる浜山公園に向かった。「優勝の余韻に浸っているわけにはいかない。もう次の準備をしないといけない」と区間が増え、距離が長くなる全日本大学に向けて準備していたのだ。そうした意識と行動が箱根にもつながっていく。箱根は往路に主力を集めて戦略的に戦うだろうが、チーム目標である「往路優勝」は十分に射程圏内になったと言える。

 駒澤大も箱根に向けて強みを増した。

 1年生の田澤廉がエース区間の3区で区間新を出し、堂々の区間2位。東洋大の相澤にはかなわなかったが、青山学院大の吉田圭太(3年)、東海大の塩澤稀夕(3年)を凌駕する走りを見せた。大八木弘明監督曰く「今後、駒澤のエースになるべき存在」で、箱根でも往路の重要区間での走りが期待できる。その脇を山下一貴(4年)、中村大成(4年)、伊東颯汰(3年)、さらに神戸駿介(3年)らが脇を固めている。アンカーで中村大聖(4年)がラストで國學院大に抜かれはしたが、駅伝で十分に戦えるチームであることを証明した。まだ、チームには駒がいるだけに、このまま全日本大学駅伝でも結果を出せば、箱根駅伝でも「BIG3」に割って入っていくだろう。
 

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