[ラグビーW杯]日本3-26南アフリカ/10月20日/東京スタジアム
196センチの偉丈夫が身体を折り曲げて、人懐っこい大阪弁で報道陣の質問に答えている。「もう代表復帰はしない?」と冗談交じりに問われると、「代表は絶対に無理。38歳。もう終わりだね」と言い切り、優しく笑った。
ニュージーランド出身のロック、トンプソン・ルークだ。
今回でラグビーワールドカップは4度目の出場となり、通算14試合の出場は日本代表歴代最多。最年長出場記録も塗り替えた。2015年大会をもって一度は代表から引退したものの、2年後に撤回して復帰を果たし、今大会では4試合すべてでピッチに立った。
快進撃を続けるジェイミージャパンは悲願だったベスト8進出を成し遂げ、日曜日の準々決勝で強豪・南アフリカと対峙した。ハーフタイムを終えて3対5と善戦するも後半は思うようにゲームを支配できず、ミスやファウルも重なって失点を続ける。3対26のスコアで敗れ、これがトンプソンにとって2度目のラストゲームとなった。
試合後、熱い想いが溢れ出した。
「ホントに、すべてが最高でした。もちろん結果は残念だけど、素晴らしいチームで、いいプレーをしたと思う。正直、トーナメントに入るまでは心配だった。2015年の頃のようなレベルに戻るのは難しいかなと思ったりもしたけど、そこからの成長が素晴らしかったね。ファンの方々に応援してもらったことが大きいし、一種のブームのようになって、レベルアップさせてくれた。みんなで成長していけたと思う」
フォワード同士のバトルで劣勢を強いられた。「南アフリカ戦はね、デカい!」と本音を吐露し、「前半が終わって3対5。後半の最初のスコアを奪えていたら、また展開は変わっていたかもしれない。めちゃギリギリのところ。でも、自分たちのプレーをさせてもらえなかった。相手の強いスクラムとモールもあって、後半は思い通りにできなかった」と悔やんだ。
トンプソンは54分にピッチを後にした。祈るような気持ちで戦況を見守っていたという。
「ああいうスコアになったけど、トライなしだけは嫌だったから、みんな最後まで戦い抜いたよね。誇れる仲間、誇れる試合になった。僕は引退するけど、次のジェネレーションは自信を持ってプレーできるでしょ。素晴らしい選手ばかりだから期待してますよ」
ふたたび代表に招集されたらどうする?
「代表は絶対ない! 前にも“絶対”って言って復帰したけど、38歳。これは絶対終わり。1年前、代表に復帰してワールドカップの準々決勝で南アフリカと対戦するなんて、信じられへんかった。。感動をもらいましたよ」 日本代表はなにが変わり、どう進化したと捉えているのか。そしてこれから、どこに向かうべきなのか。
「文化が変わったよね。勝つ文化に変わった。やはりティア1に勝つのは難しいというのはあったと思うんだけど、自分たちを信じる、ゲームプランをしっかりこなせば絶対に勝てるんだと信じ切れるようになった。なにより、このレベルをキープしていってほしい。トップ10は行けるでしょ。ここから先は、ティア1のランキングをキープできるかどうか。良いブームになっているし、日本ラグビーがさらにレベルアップできるチャンスだと思います」
今季限りでの現役引退を決めている。2006年から籍を置く近鉄ライナーズで、プレーキャリアに幕をおろす。舞台はトップリーグ下部で実質2部リーグの「トップチャレンジ」。近鉄の開幕戦は11月17日、清水建設戦だ。きっと“トム”を観たさに、たくさんのファンが駆け付けるだろう。
生けるレジェンドは「もちろん出ますよ。めっち楽しみ」と目を輝かせる。そして「みなさん、本当にありがとう。これからも是非ラグビーを応援してください」との言葉を残し、東京スタジアムを後にした。
取材・文●川原崇(THE DIGEST編集部)
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196センチの偉丈夫が身体を折り曲げて、人懐っこい大阪弁で報道陣の質問に答えている。「もう代表復帰はしない?」と冗談交じりに問われると、「代表は絶対に無理。38歳。もう終わりだね」と言い切り、優しく笑った。
ニュージーランド出身のロック、トンプソン・ルークだ。
今回でラグビーワールドカップは4度目の出場となり、通算14試合の出場は日本代表歴代最多。最年長出場記録も塗り替えた。2015年大会をもって一度は代表から引退したものの、2年後に撤回して復帰を果たし、今大会では4試合すべてでピッチに立った。
快進撃を続けるジェイミージャパンは悲願だったベスト8進出を成し遂げ、日曜日の準々決勝で強豪・南アフリカと対峙した。ハーフタイムを終えて3対5と善戦するも後半は思うようにゲームを支配できず、ミスやファウルも重なって失点を続ける。3対26のスコアで敗れ、これがトンプソンにとって2度目のラストゲームとなった。
試合後、熱い想いが溢れ出した。
「ホントに、すべてが最高でした。もちろん結果は残念だけど、素晴らしいチームで、いいプレーをしたと思う。正直、トーナメントに入るまでは心配だった。2015年の頃のようなレベルに戻るのは難しいかなと思ったりもしたけど、そこからの成長が素晴らしかったね。ファンの方々に応援してもらったことが大きいし、一種のブームのようになって、レベルアップさせてくれた。みんなで成長していけたと思う」
フォワード同士のバトルで劣勢を強いられた。「南アフリカ戦はね、デカい!」と本音を吐露し、「前半が終わって3対5。後半の最初のスコアを奪えていたら、また展開は変わっていたかもしれない。めちゃギリギリのところ。でも、自分たちのプレーをさせてもらえなかった。相手の強いスクラムとモールもあって、後半は思い通りにできなかった」と悔やんだ。
トンプソンは54分にピッチを後にした。祈るような気持ちで戦況を見守っていたという。
「ああいうスコアになったけど、トライなしだけは嫌だったから、みんな最後まで戦い抜いたよね。誇れる仲間、誇れる試合になった。僕は引退するけど、次のジェネレーションは自信を持ってプレーできるでしょ。素晴らしい選手ばかりだから期待してますよ」
ふたたび代表に招集されたらどうする?
「代表は絶対ない! 前にも“絶対”って言って復帰したけど、38歳。これは絶対終わり。1年前、代表に復帰してワールドカップの準々決勝で南アフリカと対戦するなんて、信じられへんかった。。感動をもらいましたよ」 日本代表はなにが変わり、どう進化したと捉えているのか。そしてこれから、どこに向かうべきなのか。
「文化が変わったよね。勝つ文化に変わった。やはりティア1に勝つのは難しいというのはあったと思うんだけど、自分たちを信じる、ゲームプランをしっかりこなせば絶対に勝てるんだと信じ切れるようになった。なにより、このレベルをキープしていってほしい。トップ10は行けるでしょ。ここから先は、ティア1のランキングをキープできるかどうか。良いブームになっているし、日本ラグビーがさらにレベルアップできるチャンスだと思います」
今季限りでの現役引退を決めている。2006年から籍を置く近鉄ライナーズで、プレーキャリアに幕をおろす。舞台はトップリーグ下部で実質2部リーグの「トップチャレンジ」。近鉄の開幕戦は11月17日、清水建設戦だ。きっと“トム”を観たさに、たくさんのファンが駆け付けるだろう。
生けるレジェンドは「もちろん出ますよ。めっち楽しみ」と目を輝かせる。そして「みなさん、本当にありがとう。これからも是非ラグビーを応援してください」との言葉を残し、東京スタジアムを後にした。
取材・文●川原崇(THE DIGEST編集部)
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