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【朝原宣治の見解】桐生祥秀はなぜフライング失格に?五輪代表“決定戦”を前に悪いイメージは払拭できたか

永野祐吏(THE DIGEST編集部)

2021.06.23

日本選手権の開幕が24日。テストイベントでフライング失格を喫した桐生は五輪への切符を掴めるか。写真:本永創太

日本選手権の開幕が24日。テストイベントでフライング失格を喫した桐生は五輪への切符を掴めるか。写真:本永創太

 東京五輪の会場となる国立競技場で5月に行なわれたテストイベント『READY STEADY TOKYO』。男子100メートルでは、優勝候補の桐生祥秀がリアクションタイム0秒068で飛び出し、不正失格(フライング)となり予選で姿を消す事態が起きた。

 1度のフライングなら仕切り直しが認められていた時代もあったが、2010年から「フライング1回で即失格」に改定されて現在に至る。この非情なルールについて、北京五輪の4×100メートルリレーで、男子トラック種目で日本史上初となるメダルを獲得した朝原宣治氏は、どう捉えているのか。

「当時は(心に)余裕があったと思う。それが今は無いので、やっぱりスタートで失敗してしまうと戦えない、というプレッシャーがある」

 わずか9~10秒で走る同種目。フライングには外的要因と内的要因が考えられると朝原氏は言う。外的要因のひとつとして挙げたのが、無観客だ。

「普通の試合なら雑音を感じながらスタートにつく。それが初めからシーンと静まり返ってるので、いつもと違うという要素はあるかも。いつもと違うことが起こると、身体なのか脳が何かしら反応する」
 
 ただ桐生のフライングに関しては「内的要因じゃないかな」と朝原氏は見ている。桐生は、今季は3月の『室内選手権』で60メートルに出場したが、左膝裏の違和感で決勝を棄権。4月30日の『織田記念』の100メートルでは10秒30(追い風0.1メートル)と今ひとつ調子が上がり切っていない状態でレースを迎えていたのだ。

 フライングの影響について、朝原氏は「本人が気にしていないようでも、身体が勝手に強張ったりする可能性もある」と明かした。桐生は『READY STEADY TOKYO』の後、6月6日の『布勢スプリント』の予選で追い風参考ながら10秒01(追い風2.6メートル)をマークするも、決勝は棄権。この結果に「悪いイメージを無くすために予選から結構本気で走って、その良い印象のまま日本選手権に臨もうと(決勝は)棄権したのではないか?」とレジェンドは見解を語った。

 果たして、桐生は良いイメージを持ったまま臨み、東京五輪の切符を掴めるだろうか。代表選考を兼ねた『日本選手権』は6月24日に開幕する。同種目は初日に予選と準決勝、2日目に決勝を実施。五輪参加標準記録を突破し、3位以内に入った選手が代表権を得る。

取材・文●山本祐吏(THE DIGEST編集部)

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