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「王者になっても忘れられる」今季限りでのホンダのF1撤退をアルファタウリ代表が惜しむ「日本人ドライバーもいるのに…」

THE DIGEST編集部

2021.07.08

F1で小さくない功績を残してきたホンダ。彼らの今季限りでの撤退を惜しむ声は絶えない。(C)Getty Images

F1で小さくない功績を残してきたホンダ。彼らの今季限りでの撤退を惜しむ声は絶えない。(C)Getty Images

 今季のF1は長く続いたメルセデスの一強体制が崩れた。第9戦オーストリア・グランプリ終了時点で、コンストラクターズランキングではレッドブルがメルセデスと44ポイント差のトップ、ドライバーズランキングでもマックス・フェルスタッペンが絶対王者ルイス・ハミルトンと32ポイント引き離している。
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 レースごとに力を高めている感があるレッドブルだが、このオーストリア国籍のチームを支えているのが、パワーユニット(PU)・サプライヤーのホンダだ。2019年よりパートナーシップを締結し、最初の2年間は通算で5勝だったのが、今季はすでにその数字に並んでおり、チャンピオンの有力候補に躍り出るまでになった。

 また、レッドブルの姉妹チームであるアルファタウリとはさらに古い付き合いであり、前身チームであるトロロッソ時代の2018年にPUを供給し始め、初年度の33点から85点、107点と、獲得ポイント数を飛躍的に上昇させてきた。今季はここまでピエール・ガスリーが39点、角田裕毅が9点と、計48点でチームが目標とするランキング5位につけている。

 このように、レッドブル・グループの浮上をサポートしてきたホンダだが、昨年10月に「2050年のカーボンニュートラル実現に向けて経営資源を集中させるため」にF1事業からの撤退を発表。2015年の第4期のF1参戦発表の際には「二度と撤退しない」と公言していたものの、今後はレッドブルによる独自のPU製作を支援する形で関係を維持していくという。
 
 レッドブルはこれに理解を示し、ここまでのホンダの努力に感謝の念を表わしたが、2018年から共に歩んできたアルファタウリのフランツ・トスト代表は、今でもこのホンダの決定を完全には受け入れられないでいるようだ。オランダの放送局『NOS』に対し、彼は次のように語っている。

「信じられない。ホンダはたくさんの投資を行ない、レースに勝つために一生懸命働いていてきた。もちろん私の意見では、彼らは続けるべきだと思う。今季、マックスがワールドチャンピオンになり、レッドブル・ホンダがチャンピオンシップを勝ち取れば、それは最高の成果だ。しかし、撤退してしまったら、来年の2月にはみんなそのことを忘れてしまうだろう」

「ビジネスの観点からも、やはり理解できない。タイトルを獲得したのなら、その収穫を正しく手にする必要がある。F1は素晴らしい広告ツールだ。ホンダには、最高のドライバー、素晴らしいチーム、勝てるエンジンなど、全ての要素が揃っている。さらに、今季からはコクピットに日本人ドライバーもいる。しかし、ホンダ経営陣はF1が彼らの将来のビジョンい合わないと考えて決定を下した。彼らが戻ってくることは期待していない」

 勝って有終の美を飾るために、オフシーズンから例年以上にモチベーションを高めて高性能なPUを開発してきたホンダ。その恩恵をレッドブル・グループは現在受けているわけだが、それゆえにもったいないと感じるのはトスト代表だけでなく、全てのF1関係者やファンも同様ではないだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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