英国スポーツ界でもっとも成功を収めた夫婦をご存じだろうか。自転車トラック競技で合わせて“五輪金メダル10個”を誇るケニー夫妻だ。
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　夫で33歳のジェイソンは過去３度の五輪に出場して、６つの金を獲得。かたや妻で29歳のローラは同じく五輪で４つの金を手中に収めてきた。そんな生ける伝説のふたりは、前回のリオデジャネイロ五輪の直後に結婚。翌年の８月には愛息アルビーくんを授かった

　ともに脂が乗り切って迎える、夫婦揃って臨む大会が、今回の東京五輪というわけだ。しかし、ふたりで出場するか否かについては対話を重ね、悩みに悩んだという。今大会はコロナ禍にあって家族の同伴を認可しておらず、アルビーくんを英国に置いて旅立たねばならなかったからだ。子どもと一緒に来日できないことを理由に、参加を見送ったアスリートは少なくない。

　それでもケニー夫妻は渡航を決断する。英紙『The Sun』は「もはや英国スポーツ界の神殿での生活が確約された存在だ。明日引退しても不思議ではないふたりは、それでも貪欲にさらなる栄光を掴む決断をした。まさに“ゴールデン・ギャンブル”である」と紹介。そのうえで、それぞれのコメントを掲載している。
  　今回３種目に出場するジェイソンは「ずっと一緒に過ごしてきた息子と遠く離れる決断は簡単ではなかった。彼を置いて自分勝手など許されないとね。でも、僕たちは本当に幸運だった。どちらの祖父母も健在で、協力を惜しまないと言ってくれたんだ」と感謝を口にする。

　一方、母親のローラは「アルビーはオリンピックがなにかは理解していないの。でも、バイクレースとは勝たなければいけないものだと理解している。いつも私たちに『今日は何色に乗るの？』と訊いてきてね。東京とは時差があるから大変だけど、時間が許すかぎりは（ビデオチャットで）話しているわ」と語った。

　後ろ髪を引かれる想いで来日するレジェンド・カップル。はたして、今回はいくつの金メダルを上乗せするのか。ジェイソンは「僕たちがライバルかって？　どうかな、もしそんな感情が芽生えるなら、初めての経験だろうね」と笑みを浮かべた。トラック競技は大会後半の８月２～８日に開催される。

構成●THE DIGEST編集部

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