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「間違いなくきつい」スケボーの“世界王者”が酷暑開催に苦言! 思い出される「アスリートファースト」【東京五輪】

THE DIGEST編集部

2021.07.27

独特の蒸し暑さのなかで、精彩を欠いたヒューストン。過酷な環境下でのプレーを嘆く選手は彼だけではない。(C)Getty Images

 去る7月25日に行なわれた東京オリンピックのスケートボード・男子ストリート決勝は、日本の堀米雄斗(XFLAG)が、見事に金メダルを獲得。今大会から組み込まれた新種目の"初代王者"となった。

 22歳のサムライがヒーローとなった一方で、失意の敗戦を喫したのが、アメリカのナイジャー・ヒューストン(アメリカ)だ。世界ランキング1位に君臨して挑んだ26歳だったが、決勝では4回連続でトリックに失敗し、8選手中7位と辛酸を舐めた。

"スケボー界のタイガー・ウッズ"とも呼ばれるヒューストンは幾多のタイトルを勝ち取り、年収は30億円とも言われている。そんなストリートで絶大な支持を得る男の敗戦には小さくない反響が広がった。

 敗因は一体なんだったのか。米放送局『NBC』の取材に応じたヒューストンは、「夢が叶った」とオリンピック出場に満足感を示したうえで、「あの暑さは半端じゃなく影響があるよ」と、試合日に34度まで達した気温の下でのプレーに苦言を呈した。
 
「間違いなくきつかった。足が焼けるようなクレイジーな感覚って言うべきかな。暑すぎてボードも曲がっているかのようだったし、とても簡単じゃなかったよ」

 今回のオリンピックにおいて、猛暑の中でプレーを強いられる現状に不満を口にしたアスリートはヒューストンが初めてではない。男子シングルスに参戦している世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)も、24日の1回戦後に「プレーするのは非常につらかった」と前置きし、「選手の体調をもっと考えてほしい。なぜ時間を遅らせないのか、理解に苦しむ」と訴えていた。

 IOCをはじめとする五輪関係者たちが事あるごとに口にしてきた「アスリートファースト」。コロナ禍にあってすっかり耳にする機会も減ったが、ヒューストンたちのようなトップアスリートからの苦言は、図らずもその重要性を説くものとなった。

構成●THE DIGEST編集部

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