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「座席に誰かが座っているような幻想を抱くが…」アメリカ人記者が伝えた“緊急事態宣言下の無観客五輪”【東京五輪】

THE DIGEST編集部

2021.07.27

無観客開催となった今回のオリンピック。選手だけでなく、記者たちも戸惑いを隠せない。(C)Getty Images

無観客開催となった今回のオリンピック。選手だけでなく、記者たちも戸惑いを隠せない。(C)Getty Images

 コロナ禍による緊急事態宣言下、無観客という前代未聞の状況で行なわれている東京オリンピック。選手たちは連日、素晴らしいパフォーマンスを見せているとはいえ、観客が一人もいない会場に違和感を覚えている人は少なくないだろう。
 
 取材に訪れた海外の記者にとってもそれは同じだ。アメリカの三大ネットワークの一つで、オリンピックの独占放映権を持つ『NBC』のベテラン記者コーキー・シュマスコがメインスタジアムの国立競技場を訪れ、「トーキョーのオリンピック・スタジアムはスポーツ界の中心でありながら、ほとんど誰もいない」と題する記事を掲載。「無観客オリンピック」の独特の状況を伝えている。

 シュマスコ記者はまず、6万8000人を収容する国立競技場を現在訪れる人間の大半がカメラクルー、テクニシャン、記者であることを紹介。木のプレートや緑の葉など日本らしい特徴があしらわれていることにも言及しつつ、「売店は閉まっていて、回転ドアにも人気がない。少数の係員が配置されているが、表には出てこようとしなかった」と記した。
 また、「内観は大聖堂と同じように息を呑むほど美しい」としながらも、「ダークグリーン、ライムグリーン、茶、白に色分けされた三層の座席は一見すると、誰かが座っているような幻想を抱かせる。しかしそれはあくまでも幻想にすぎない」と書いている。

 組織委員会や政府は最後まで有観客での開催を探っていたが、首都圏での新型コロナ感染者数が下げ止まらなかったことを受け、8日に東京・神奈川・埼玉・千葉の開場での無観客開催を決定。これによる経済損失は6000億円に上るとの見方もある。

 まさに異例の状況で行われている今回のオリンピック。記事の最後で、シュマスコ記者は自衛隊員がメダル授与式のリハーサルをしている様子を描写している。

「上官が大声で指示を伝える中、自衛隊員たちはポールの方向を向いてロープを引っ張り、国旗を上げ下げし、それから畳んで持ち去るような仕草を見せた。しかし、彼らの手の中には何もなかった」

構成●THE DIGEST編集部

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