東京オリンピックで起きた前代未聞の行為が物議を醸している。
波紋を広げているのは、大会5日目となった7月27日に行なわれた男子ボクシングヘビー級の決勝トーナメント1回戦、ユネス・バーラ(モロッコ)とデビッド・ニカ(ニュージーランド)でのワンシーンだ。
一進一退の攻防が続いていた第3ラウンドだった。猛攻を受け、咄嗟にクリンチで逃げたバーラが、なんと相手の右耳を噛もうとしたのだ。これにはニカも「おい!」と叫び、レフェリーが試合を止めたが、両陣営が騒然としたのは言うまでもない。
このシーンから思い出されるのは、やはりマイク・タイソン(アメリカ)だ。ボクシング界で異彩を放った“鉄腕”は、1997年6月に行なわれたイベンター・ホリフィールド(アメリカ)との戦いで、相手の左耳を噛みちぎろうとしたのである。その時は試合の中止を余儀なくされ、タイソンは15か月間のライセンスはく奪処分を受けたのだった。
ボクシング界に残る悪しきシーンを彷彿とさせた行為にニカは怒り心頭といった様子。バーラを判定(5-0)の末に打ち破り、次ラウンドに勝ち進んだ25歳は、英公共放送『BBC』などによれば、試合後のインタビューで、次のようにぶちまけている。
「あれを見たか? 俺はレフェリーが見ていたとは思わないね。彼女は一番近くにいたのに、あの危険な行動を見てなかったんだよ。幸いなことに、彼はマウスガードをしていて、俺も汗をかいていたから耳を完全に噛むことはできなかったみたいだった。俺は前にも噛まれそうになった経験がある。だけど、なぁ、これってオリンピックの試合だよな?」
当然、海外メディアも前代未聞の行動を大々的に報道。欧州メディア『EURO Sport』は「完全に狂った行為だ。ニカが耳を残してリングを下りれたことは幸運でしかなく、バーラは非難されるのも仕方がない」と伝え、ニュージーランド・メディア『Stuff』は、「経験の浅いモロッコ人ファイターのあまりにスポーツマンらしくない振る舞いだ」とレポートし、ニカのセコンドに入ったビリー・ミーハン氏のコメントを紹介している。
「彼はこのレベルにない。ああいうプレーを見ることは誰も望んでないし、被害を受けることも望んでいない。ただ、デビッドは見事にあしらったと思うよ」
試合後、スポーツマンシップに反するとして、失格処分を受けたバーラ。だが、この先も騒動が大きくなれば、より重い判断が下されるかもしれない。
構成●THE DIGEST編集部
波紋を広げているのは、大会5日目となった7月27日に行なわれた男子ボクシングヘビー級の決勝トーナメント1回戦、ユネス・バーラ(モロッコ)とデビッド・ニカ(ニュージーランド)でのワンシーンだ。
一進一退の攻防が続いていた第3ラウンドだった。猛攻を受け、咄嗟にクリンチで逃げたバーラが、なんと相手の右耳を噛もうとしたのだ。これにはニカも「おい!」と叫び、レフェリーが試合を止めたが、両陣営が騒然としたのは言うまでもない。
このシーンから思い出されるのは、やはりマイク・タイソン(アメリカ)だ。ボクシング界で異彩を放った“鉄腕”は、1997年6月に行なわれたイベンター・ホリフィールド(アメリカ)との戦いで、相手の左耳を噛みちぎろうとしたのである。その時は試合の中止を余儀なくされ、タイソンは15か月間のライセンスはく奪処分を受けたのだった。
ボクシング界に残る悪しきシーンを彷彿とさせた行為にニカは怒り心頭といった様子。バーラを判定(5-0)の末に打ち破り、次ラウンドに勝ち進んだ25歳は、英公共放送『BBC』などによれば、試合後のインタビューで、次のようにぶちまけている。
「あれを見たか? 俺はレフェリーが見ていたとは思わないね。彼女は一番近くにいたのに、あの危険な行動を見てなかったんだよ。幸いなことに、彼はマウスガードをしていて、俺も汗をかいていたから耳を完全に噛むことはできなかったみたいだった。俺は前にも噛まれそうになった経験がある。だけど、なぁ、これってオリンピックの試合だよな?」
当然、海外メディアも前代未聞の行動を大々的に報道。欧州メディア『EURO Sport』は「完全に狂った行為だ。ニカが耳を残してリングを下りれたことは幸運でしかなく、バーラは非難されるのも仕方がない」と伝え、ニュージーランド・メディア『Stuff』は、「経験の浅いモロッコ人ファイターのあまりにスポーツマンらしくない振る舞いだ」とレポートし、ニカのセコンドに入ったビリー・ミーハン氏のコメントを紹介している。
「彼はこのレベルにない。ああいうプレーを見ることは誰も望んでないし、被害を受けることも望んでいない。ただ、デビッドは見事にあしらったと思うよ」
試合後、スポーツマンシップに反するとして、失格処分を受けたバーラ。だが、この先も騒動が大きくなれば、より重い判断が下されるかもしれない。
構成●THE DIGEST編集部