東京オリンピック2020は７月28日、体操男子総合が行われ、日本からは橋本大輝と北園丈琉が出場。橋本が２連覇中の内村航平に代わる“新しい王”として、見事金メダルを獲得した。

　前日の団体で銀メダルを獲得した日本。新星ニッポンのニューエースとして期待されている橋本は、正ローテーションで床からスタート。２種目を終えてトップに滑り出しだったが、３種目目のつり輪で技が認定されずにスコアが伸び悩み、跳馬でもラインを一歩出るミスをおかすなど、４位に後退した。

　しかし、残す得意の平行棒と鉄棒でその才能が一気に発揮される。美しさと難度を両立した平行棒は着地もぴたりと止め、15.300の高スコア。そして、最終演技者として迎えた鉄棒は、次々と離れ技を決め、着地も収めると、橋本は勝利を確信してガッツポーズ。

　内村航平が２連覇していた競技を、見事その意志を継いだ形で新王者が誕生した。
  　優勝の想いを聞かれた橋本は「言葉で言い表せない。人生で一番いい瞬間は言い表せないと思うんです。やっぱり団体のみんなで上りたかった」と、銀メダルに終わった団体への悔しさも口にした。しかし、「今日はそのメンバーが来てくれたので、感謝の気持ちでいっぱいです。感謝の演技ができたと思います」として仲間との"絆"も強調。

　涙ではなく笑顔をずっと浮かべていたことについては、「ここで涙を流してしまうと、今の状態に満足していることになってしまうので。チャンピオンは涙を流さず、常に前だけを見ていきたいと思ったので、この試合を楽しみました」。

　優勝はあくまで"通過点"なのか。個人総合の３連覇を目指す偉才は３ヵ月後に控える世界選手権を見据え、「もっと高みを目指していきたい」と締めくくった。次のパリ五輪でも23歳。尊敬する内村も成し遂げられなかった偉業に向け、まずは最初のステージをクリアしたと言えるだろう。

■橋本大輝：
①ゆか：14.833
②あん馬：15.166
③つり輪：13.533
④跳馬：14.700
⑤平行棒：15.300
⑥鉄棒：14.933

構成●THE DIGEST編集部