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「航平さんに早く追いついて、越せるように」橋本大輝が鉄棒でも金!個人総合との二冠達成【東京五輪】

THE DIGEST編集部

2021.08.03

個人総合に続く金メダルを達成した橋本。(C)Getty Images

 東京オリンピック2020は8月3日、男子体操個人種目別の鉄棒が行われ、日本からは橋本大輝と北園丈琉が出場。橋本が唯一の15点台を叩き出し、個人総合に続く金メダルを達成した。

 波乱の展開となった。選ばれた8人がその技を競う個人種目別。しかし、鉄棒のスペシャリストたちがプレッシャーもあったのかミスを連発し、最初の演技者5人のうちでノーミスで演技を終えたのはナゴルニー(ROC)だけという異常事態だった。そして北園も、まさかの落下で12.333とスコアを伸ばせなかった。

 ここで6番目のスルビッチ(クロアチア)が14.900で一気にトップに躍り出ると、続く個人総合の金メダリスト、橋本に大きなプレッシャーをかけてくる。しかし、日本のエースは一切の緊張感なくすべてを完走。今大会で最も完璧に伸身の新月面を決め、15.066で1位に立った。

 その美しすぎる演技は最後のドゥーロ―(オランダ)に影響があったか、まさかの落下。事実上、橋本の二冠が決まった瞬間だった。
 
 試合後のインタビューでは緊張感もあったというが、「仲間の声が聞こえて、本当に力になるんだなと感じました」として「普段通りの演技ができたと思います」と、ライバルの落下もいい意味で気にせずに集中できたことが勝因につながったという。

 また、表彰台の君が代は「マスクはしていたんですが、結構歌ってたんですけど、それが伝わればいいなと思います。日本代表として演技だけでなく、国歌もしっかり歌って代表としての誇りを見せたと思います」と、"ジャパンプライド"についても口にした。

"キング"内村航平の後継者として期待される新エースは「航平さんを目標にしていて、まだ超せたかは分からないですけど、早く追いついて越せるようになりたいです!」と、自身が目指す個人総合3連覇への期待も胸に前を向いた。

「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ」

 アテネ五輪で体操男子団体が28年ぶりの金メダルに輝いた時の有名な実況だ。橋本が種目別で決めた最後の着地も、まさにこのフレーズを彷彿とさせるものだった。無観客ではあっても、大きな歓声が聞こえてくる、あまりに完璧な演技が東京の地に生み出された。

構成●THE DIGEST編集部