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男子50キロ競歩の「残酷な暑さ」に選手も危機感。6位入賞の川野将虎は身体に異変も【東京五輪】

THE DIGEST編集部

2021.08.06

アイシングをしながら歩く川野の姿。(C)Getty Images

 まさに過酷なレースだった。

 8月6日、東京五輪の陸上男子50キロ競歩決勝が札幌大通公園で行なわれ、川野将虎(旭化成)は、途中アクシデントに見舞われながらも3時間51分56秒で6位入賞を果たした。

 選手は熱さを凌ぐため、氷を帽子の中に入れたり、体に水を掛けるなど、身を冷やしながらレースを進めた。30キロ手前で、ポーランドのダビト・トマラが一気にペースアップし集団を振り切ると、レースは動いた。

 2位集団につけた川野は、41キロ付近で体調に異変が生じた。集団から外れ中央分離帯に顔を突っ伏し嘔吐したが、すぐに立ち上がると、再び集団に食らいついた。粘りをみせた川野だが、47キロ付近で集団から後退し、メダル争いから離脱。逃げ切ったトマラが優勝、ヨナタン・ヒルベルト(ドイツ)が2位、3位にはエバン・ダンフィー(カナダ)が入った。

 6位でフィニッシュした川野は、ゴール後には全身がけいれんし医務室に運ばれた。厳しい暑さで行なわれたこのレースは、59人がスタートするも、完歩者は47人(途中棄権が10人、失格が2人)だった。インドのメディア『Devdiscourse』では、「ウォーカーは札幌で"残忍な"暑さと戦う」と銘打ち以下のように伝えた。
 
「IOCは東京の夏の暑さから逃れるため、2019年マラソンと競歩の開催地を北に約800キロ離れた札幌に移動する決定をした。ところが、同国の気象庁によると、金曜日の札幌の最高気温は東京と同じくらいで35度に達していた」

 スタートから徐々に気温が上がる中、およそ4時間に及ぶ大熱戦が繰り広げられた。銅メダルを獲得したダンフィーは、レース後「残忍なものだった。少なくとも、私たちが歩いている間にゆっくりと気温が上昇していたと巨大な画面が示していた」と語っている。

 同様に前回大会で金メダリストながら、今大会14位に甘んじたマテイ・トート(スロベキア)は、「特に後半は非常に厳しかった。建物の温度計で確認したけど、多分10キロごとに1度ずつ上昇していたよ」と振り返っている。

 札幌では、7日には女子マラソン、8日には男子マラソンが控えている。再び過酷な条件でのレースになるだろうか。今は選手が安全に競技を終えることを祈るばかりだ。

構成●THE DIGEST編集部

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