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ラグビー

「まるでダビデとゴリアテだ!」巨漢ロックに噛み付いた“小兵”デクラークにスタジアムが熱狂!【ラグビーW杯】

川原崇(THE DIGEST編集部)

2019.10.28

巨漢のボール(4番)に首根っこを掴まれようが、一歩も引かないデクラーク。日本での知名度はうなぎ上りだ。(C)Getty Images

巨漢のボール(4番)に首根っこを掴まれようが、一歩も引かないデクラーク。日本での知名度はうなぎ上りだ。(C)Getty Images

 ブロンドヘアの司令塔が、この日も大立ち回りを演じた。

 日曜日に行なわれたラグビーワールドカップ準決勝、ウェールズ対南アフリカの一戦。息が詰まるような大接戦は16対16の同点のまま終盤に突入し、76分にSOハンドレ・ボラードのPGで突き放した南アフリカがかろうじてモノにした。優勝した2007年大会以来、12年ぶり3度目のファイナル進出だ。

 なかでも絶妙なパントキックと素早いチェック&タックルを駆使し、存在を際立せていたのがSHファフ・デクラークだ。準々決勝の日本戦でも奮迅の働きを見せた174cmの小兵は、あらゆる局面に顔を出して、スプリングボクス(南アフリカ代表の愛称)を力強く牽引した。

 後半が始まってまもなく、横浜の大観衆を熱狂させるシーンがあった。

 相手のパントキックをタッチライン際で待ち構えたデクラークは、珍しくこれをノックオン。これでフラストレーションが溜まったのか、直後にやや手荒いタックルをウェールズ選手にお見舞いし、それをきっかけにちょっとしたもみ合いとなった。そこでデクラークを抑えようと割って入ってきたのが、ウェールズの巨漢ロック、198cmのジェイク・ボールだ。襟を掴まれたデクラークは、24cm差の相手にも怯まずグイグイと押し返して、闘魂を示したのである。

 その一部始終がオーロラビジョンでリプレー再生されると、会場にはまるでトライが決まったかのような大歓声が巻き起こり、拍手喝さいに包まれた。
 英紙『Mirror』が「まるで“ダビデとゴリアテ”のようだ。デクラークがそのファイティングスピリットでチームを活気づけた」と称えた名場面。背番号9は「負けてられないからね」と切り出し、ジョークを交えながら想いを明かした。

「僕たち(デクラークとボール)は実は仲が良いんだよ。だから素晴らしい瞬間になったよね……。というのは冗談だ(笑)。まあ、試合の一部に過ぎないよ。フィジカルを前面に押し出したバトルを僕自身、楽しめていたし、ウェールズのようなチームが相手なら、一歩も引くことは許されない。ピッチ上でもっとも背が低い僕が闘う姿勢を見せれば、チームメイトのモチベーションも高められると思うしね」

 日本でもすっかり有名人となり、自身初のワールドカップで眩いばかりの輝きを放つ28歳。決勝戦に向けては「すごく興奮しているけど、まだひとつ残っている。なにも成し遂げてはいない。祝うのはまだ先だ」と気を引き締め、「イングランド? イメージはできているよ」と、最後は不敵な笑みを浮かべた。

取材・文●川原崇(THE DIGEST編集部)

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