ラグビー

「戦術的に強くなるためには…」南アフリカHCが指摘した日本代表“進化へのカギ”【ラグビーW杯】

川原崇(THE DIGEST編集部)

2019.10.28

シーズンを通して継続的にティア1勢と戦えたなら──。日本代表の進化のスピードは格段に高まるだろう。(C)Getty Images

 就任からわずか1年半で、途轍もなく強力なスカッドを作り上げた。停滞していたスプリングボクス(南アフリカ代表の愛称)をものの見事に立て直し、12年ぶり3度目のワールドカップ決勝へと導いた、ラッシー・エラスムスHCだ。

 10月27日、横浜国際総合競技場で行なわれたラグビーワールドカップ、ウェールズ代表戦は手に汗握る攻防戦となった。ともに1トライずつを奪い、16対16で迎えた76分。南アフリカはセットピースで敵のファウルを誘い、SOハンドレ・ポラードがこの日4本目のPGを決めて勝ち越しに成功した。4連敗中だった相手から最高峰の舞台で、鮮やかにリベンジを果たしたのである。

 46歳の指揮官は「最近の4度の対戦から教訓を得ていた。決してスペクタルなゲーム展開ではなかったが、選手たちはよく辛抱して強みを発揮してくれたと思う」と喜びを噛み締め、イングランドとの決勝戦(11月2日)に向けては、「昨夜のニュージーランド戦は破壊的だったが、我々にもチャンスはあるだろう。これからの6日間で良い準備をしたい」と決意を語った。
 会見のなかで、報道陣から「ティア2の日本と準々決勝を戦い、次がティア1で欧州王者のウェールズが相手となった。ギャップは感じたのか?」との質問が飛んだ。するとエラスムスHCは日本代表が進化するためのヒントを示しながら、次のように力説した。

「ティア1やティア2がどういう定義で決まっているのか、私にはよく分からない。例えばアルゼンチンは日本よりランクは下だが、ラグビーチャンピオンシップ(南半球4か国対抗)に参加している。ましてや日本は今大会でアイルランドとスコットランドを打ち負かした。ティア1に限りなく近いと思うし、実際に我々と戦った日本はティア1のレベルにあったと感じる」
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「日本が6か国対抗やチャンピオンシップに出場できれば…」