フィギュア

羽生結弦が今季ついに、前人未到“4回転半ジャンプ”の成功なるか!? 残り「8分の1」回転の壁をどう越えてくるのか

辛仁夏

2021.09.26

4Aを最初に跳ぶことを最大の目標に掲げる羽生は、果たして今季見せてくれるか。(C)Getty Images

 北京五輪シーズンとなる今季、羽生結弦は決意を持って挑む覚悟を改めて誓った。4月の世界国別対抗戦(以後、国別)以来、久しぶりにファンの前で演技を披露した羽生は、7月9日の「ドリーム・オン・アイス」(DOI)初日にこんなコメントを残した。

「今シーズンは自分の最大の夢に向かって全力で努力していきます」。そして、「平昌オリンピックシーズンみたく、絶対に(五輪で)金メダルを取りたいという気持ちは特にありません。ただ、必ず今シーズンで4回転半(ジャンプ)を決めるんだという強い意志はあります。しっかりとその意志を、決意を持って今シーズンに挑みたいと思っています」と。

 幼い頃から抱き続け、2連覇した平昌五輪後に本格的に取り組み始めたクワドアクセル(4回転半ジャンプ=4A)を誰よりも早く習得して試合で最初に成功させること。それが羽生の「最大の夢」だ。66年ぶりの五輪連覇後の一夜明け会見で、次なる目標について聞かれた五輪王者はいの一番で「夢がかなった気持ちはあるし、やるべきことをやれた実感はある。ただ、まだやりたいことはスケートで残っている」と語り、前人未踏の4Aを史上初めて試合で跳んで降りたスケーターになると意欲満々だった。
 
 羽生にとってのアクセルジャンプは、彼のスケート人生を物語る上で欠かせない。世界のトップ選手に上り詰めることができ、そのスケート人生を王道に導いたのは最も得意なジャンプであるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ=3A)を最大の武器にしたからだ。幼少期にジャンプ指導を受けた恩師の都築章一郎氏からは「アクセルは王様のジャンプ」と言われていたという。その「王様のジャンプ」を磨き上げた3Aは芸術品であり、誰も真似できない「究極の美しいジャンプ」を跳ぶまでになった。

 そして、さらに最も難しいジャンプとなる4Aを跳ぶことを最終目標に据え、今年3月の世界選手権で銅メダルに終わった後のメダリスト会見では「4Aを練習して誰よりも早く公式戦で決める人間になりたい」と話していたが、この時点では「まず着氷させて完成度を上げたい」、「あと8分の1回れば立てる」と未完の状態だった。
 
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4A習得に向け起きた変化とは?